10.29.2009

トビーという少年の記憶 「ATOM」



自分はもともとアトムに思い入れがあるわけではないので、 すんなり受け入れられたほうかもしれない。 アトムより鉄人28号、 いやマジンガーZか、 マグマ大使よりジャイアントロボ、 リボンの騎士よりバビル2世、 メルモちゃんはちょっといいけど、 どうせなら、 ななこSOSかキューティーハニーでいいや、 さらに言うならゴジラよりガメラ・・ という趣味なので、 時代背景や対比がテキトーですまないが、 ようするに手塚治虫先生はあまりにAクラス、 多数派向けという気がしてしまう。

それでもこの作品は、 アトムが吊り下げられているティーザーのビジュアルを見て、 すごく見たいなと思った。 たぶんシリアスで恐い、 アトムのアナザーバージョンを期待したのだろう。 そしてやっと本編を見ることができたが、 残念ながらその期待に応える作品ではなかった。 普通の楽しいCGアニメだ。 だがアメリカのCGアニメの受けが悪い うちの子供たちにも比較的 高評価だったし、 少なくとも 「DRAGONBALL」 よりマシとは言える。

ただ本作は、 実の息子を亡くした博士が、 息子に似せてロボットを作るという部分が中心になっているので、 そう言えばアトムって そんな話だったんだと、 あらためて手塚先生の原作に潜む何らかのものを感じることはできた。 トビーという少年の記憶を移植するが、 トビーを甦らせたいという願いとは逆に父は、 アトムを見るたびに悲しい記憶を思い出すこととなる。 ロボットとなった少年は、 その後も成長することができるのだろうか。 SFの王道的な着想だったんだなあと・・ かと言って 「A.I.」 やその他ピノキオ的な物語と比較して とくに深いとか、 抜きん出てるというわけでもないが。

子連れなので吹替版だが、 上戸彩はけっこう上手かったように思う。 しかし声優が本職ではない人を起用する最近の傾向について、 声優さん自身はどう感じているのだろう。 というか、 上戸彩の声だから、 役所広司の声だから見に行こうと思う人がどれだけいるんだろう。 あるいは本編に大して関わりのない日本のタレントを使った海外作品のプロモーションも盛んだが、 その勢いにつられて見に行く人っているのか? まあ、 いるから やるんだろうな。 しかし、 そうやって本当のターゲットにアクセスしない宣伝方法は、 いつか大きな揺り戻しを引き起こしそうな気がするが、 言っても仕方ないか。 。

ATOM アトム Astro Boy (2009香港・アメリカ・日本) 10/10〜 フルCGアニメ
監督 デビッド・バワーズ 原作 手塚治虫  公式サイト 
吹替版 声:上戸彩 役所広司 

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