
カンヌで持てはやされている兄弟監督作品、 これも脚本賞らしいが、 はっきり言ってつまらない。 監督って若手かと思っていたら、 そうでもないんだな。 硬質なテイスト、 ゴツッとした雰囲気だけで引っぱって、 ひとりよがりな結末で終わる。
ロルナという女はアルバニアからの移民。 偽装結婚によりベルギー国籍を取得、 今度はロシア人と結婚、 言わば国籍の転売をビジネスにしている。 ベルギー人の結婚相手にはジャンキーを選び、 離婚ではなく中毒死に見せかけての別れ方がベストらしい。 だが女はいつしか、 ジャンキーの偽装夫に情を持ち、 殺さないで済むようにと考えるが、 元締めのグループがそれを許さない。
クライムストーリーにしてはリアリティが薄く、 情報量が少なくて新鮮味がないし、 ラブストーリーにしてはロルナの描き方が浅く、 ジャンキー男の甘えぶりは描けてなくもないが、 感情移入ができるというほどでもない。 けっきょく何が描きたかったのかもわからず、 脚本賞の根拠も発見できず。 こうなると、 かつての二度のパルムドールも雰囲気だけで持って行ってしまったのかと。 自分的にはどれも二つ星程度だったので妙に納得できたりして。 原題にも内容にも無関係な "祈り" という邦題をつける人らの'それっぽさ'のセンスにも脱帽。


ロルナの祈り Le silence de Lorna (2008/ベルギー・フランス・イタリア)
脚本・監督 ダルデンヌ兄弟 *カンヌ脚本賞 日本公開2009 公式サイト
アルタ・ドブロシ ジェレミー・レニエ ファブリツィオ・ロンジョーネ
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