青春の修理 ｢スプリング･ブレイクダウン｣

サンダンスで話題になったものの､ アメリカでも配給される機会に恵まれなかった作品｡ ようするにDVDスルーだが､ 敬意を込めて "DVDプレミア" と呼ぶことにする｡ ｢ヘドウィグ･アンド･アングリーインチ｣ の色使いが好き､ そう語る監督は日系だろうか｡

アメリカの女子高生は､ モテモテ･セクシー選抜チームとダサい普通の子グループに分かれる｡ 極端な描き方だとは思うが､ いろんな映画でこのパターンを見かけるので､ あながちデフォルメとも言えないかもしれない｡

学生の頃フォークグループを結成していたサエない女子三人組は15年後､ それぞれに仕事を持ち､ 独身であった｡ 一人は政治家の秘書となっているが､ その娘が春休みにサウスパードレ島に行くというので､ 監視の任務を仰せつけられる｡ その島は "新島の伝説" みたいなところであろうか､ ハメを外したい若者のメッカとなっている場所であった｡ 30代半ばの三人が､ 若い世代のお祭りに潜入するという不思議なシチュエーションのなか､ 彼女たちはいつしか仕事を忘れ､ 青春をやり直すこととなる｡

パーカー･ポージー扮する犬の調教師は､ 学生時代は密かにセクシーグループに憧れていたが､ ひょんなことからこの島で､ ソフィー･モンク率いる "ザ･セブン" 入りを果たす｡ 飲み明かす毎日のなか､ 他の二人もそれぞれに､ 自分を閉じこめていた何かをぶち壊す契機に遭遇していく｡ そして最後はステージ､ ふたたび彼女たちは歌う｡

ありがちなプロットだとは思うが､ 若者に混じってそれなりにキメているアラフォーズの '痛さ' は自虐的な意味でも笑えるし､ もう一人､ 毎年この島に来るという女が登場する｡ 酔いつぶれた夜に彼女は言う｡ "ビデオに録画した暖炉のように いくら近づいても暖かくならない"

セクシーギャル代表のソフィー･モンクは､ いかにもアメリカン･カンカンガールなのに､ 実はイギリス生まれなんだなとプロフィールを見て思いつつ､ アラフォー世代にはもちろんアラフィーにも､ あるいは逆に若い世代にも見て欲しい佳作であることを強調して終わることにする｡


スプリング･ブレイクダウン Spring Breakdown (2009) 未公開　
監督 ライアン･シラキ　
パーカー･ポージー　エイミー･ポーラー　レイチェル･ドラッチ　
ソフィー･モンク　ミッシー･パイル　アンバー･タンブリン　ジェーン･リンチ　

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