一口に戦争映画と言ってもさまざまな切り口があるが、 戦争物はヴァンパイアと並ぶ もう一つのトレンドかもしれない。 これはドイツ国内でナチス打倒を図る人々を描いた、 実話に基づく映画。 眼帯姿のクルーズが印象的だが、 静かな演技でアクションはない。
1943年、 アフリカ戦線で左目と右手首、 左手の何本かの指を失った大佐はドイツに呼び戻される。 平和と繁栄を約束したはずの総統が始めた戦争もしだいに戦局が怪しくなり、 人々は指導者の正体に気がつき始めた。 この戦争を止めなければならない。 ナチではないドイツがあることをいま世界に示さなければ、 子供たちに恥を残すこととなる。 大佐は反ナチ組織に合流し、 ヒトラー暗殺の指揮を取る。 たとえヒトラーが死んでもSS (親衛隊) を抑えなければ政権は打倒できない。 綿密な計画を練る。 クーデター鎮圧のために用意された "ワルキューレ" と呼ばれるオペレーション、 これを利用するのだ。 生と死を司る存在、 そしてワグナーの曲に命運をまかせるかのように作戦は決行される。
歴史を見ればこの作戦が失敗していることは明らかだ。 にもかかわらずハラハラさせられる。 そしてあまり知られていない事実だが、 ドイツ人によるヒトラー暗殺は15回以上にわたり試みられたのだそうだ。 それらはことごとく失敗し、 "7月20日プロット" (ワルキューレ作戦) はその最後のものである。 そしてワルキューレ失敗の9ヶ月後、 連合軍によってベルリンは包囲されヒトラーは自殺することとなるが、 この映画はドイツ人の名誉回復と作戦に倒れた者たちの追悼、 あるいは間違った指導者を掲げたアメリカへのレクイエムであるかのように、 ひたすら静かに幕を閉じる。 この静かな終わり方は独特だ。 これだけでも味わう価値があるのではないだろうか。
ワルキューレ Valkyrie (2008アメリカ・ドイツ) 3/20公開
製作・監督 ブライアン・シンガー 公式サイト&トレーラー
トム・クルーズ ケネス・ブラナー ビル・ナイ
プレミアムエディション [DVD] powered by G-Tools |
2 コメント:
いつもTB有り難うございます。
今回TBが上手く通りませんので、コメントで失礼致します。
後日・改めて確認します。
素敵な記事だと思いました。
>象のロケットさま
いつもお世話になります。
設定等は何も変えてないのですが、お手数おかけします。 自分も他所へのTBで、通らないケースに遭遇することがありますが、 今回はこちらのサーバの不具合でしょうか、Blogspotからの情報がないか確認してみます。
取り急ぎリンクを張らせていただきます。 よろしくお願いいたします。
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