2.23.2009

立つんだ真紀! 「受験のシンデレラ」



ヘンなタイトルだと思ったが、 邦画一般とは違う匂いを感じて見てみた。 モナコ国際映画祭なんて聞いたことないが、 そこで作品賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞の4冠に輝いたという触れ込みが作品を余計に得たい知れずにしているが、 案外ぐっと来る作品だった。

受験・・ 自分的には嫌な思い出のあるものだが、 見ているうちに、 2009年の現在ではなく、 いつかの遠い冬の空気感がよみがえってきそうな甘酸っぱさを覚えたことも確か。 "日本の青春は受験抜きには語れない" と豪語する監督は、 精神科医であると同時に塾講師ということで、 それはそのまま物語とオーバーラップする。

"俺の言う通りにすれば来年の今頃は東大生だ" そう語る男は高収入の塾講師だが、 転機が訪れていた。 ガンが発見され、 余命1年半と宣告されたある日、 男は少女に出会う。 人生をあきらめることに慣れてしまった高校中退の少女の中に、 忘れてしまった思いを見出し、 こともあろうに彼女を東大に合格させることを人生最後のミッションにする。 監督いわく、 受験版 「あしたのジョー」 。 。

もしかしたら、 本業のプロモーションか何かのためのウサン臭い映画かなとも勘ぐったが、 本作が初監督作品となる和田氏は、 医師あるいは塾講師である以前に、 ただの映画好きのようである。 まわりにプロを配すれば、 監督は素人でもできる。 それは間違いなさそうだが、 それでも映画が観客に届くかどうかは、 監督の '人間力' の問題となるはず。 これをとんでもない異業種横滑りと見るか、 好感を持って迎えられるかは、 その人の映画に対する考え方の踏み絵となるだろう。

テクニックばかりで魂を失った職業監督の作品より、 遙かに映画的である。 自分はそのような感想を持ったが、 主演の二人も過不足のない好演。 だからと言って学歴社会に対する見方が変わったわけではないが、 エンディング曲の秋元康作詞 「ガンバレ!」 を除いて、 概ね素敵な映画だと言える。

受験のシンデレラ (2008) 公式サイト&予告編 
監督 和田秀樹 脚本 武田樹里 
寺島咲 豊原功補 浅田美代子 
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