12.29.2008

消費する家畜 「いのちの食べかた」



食べものはすべて、 他の命。 それが動物であれ植物であれ、 生であれ加工品であれ、 このことは紛れもない事実だ。 ベジタリアンになってみたところで、 他の命の犠牲の上に自分の命があることに変わりはないのだ。 そんなシンプルな事実を再確認し、 見る人それぞれに何か考えてもらおうという映画。

機械化された酪農や農作業の行程を、 セリフもなく淡々と映すだけ。 見慣れない機械に興味が湧くが説明は一切なし。 残酷だなとか、 滑稽だなとか、 素朴な感想しか出て来ないが、 1時間半は意外にすぐに経ち、 こんな風にして肉や魚、 野菜がスーパーに並ぶんだなと勉強になると同時に、 言葉にならない感想が残る。

つまり食べられるためだけに生まれ、 そして食料として繁殖させられる牛や鶏が、 なぜか自分たちに重なってしまう。 食物連鎖の頂点にいるはずの人間も、 日々の糧を得るために労働し、 年老いていく。 その姿が家畜にオーバーラップする。 消費社会の家畜、 それこそ現在の人間の姿なのだ。

極端な感想かもしれない^ ^ そこまで悲惨な感想を持つ必要もないが、 飽食の年末年始に、 不思議な1時間半を過ごしてみるのも悪くないのでは。



いのちの食べかた (2005ドイツ・オーストリア) 日本公開2007
Unser Täglich Brot/Our Daily Bread 公式サイト&トレーラー 
監督 ニコラウス・ゲイハルター 
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おすすめ平均 star
star何度見てもいい映画です
star「感謝の祈り」が無い食卓
star「いのち」→「糧」の過程
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