ボクと空と麦畑 Ratcatcher (1999イギリス) 日本公開2001
監督 リン・ラムジー
ウィリアム・イーディー トミー・フラナガン マンディ・マシューズ
70年代半ばのスコットランド、 かつての工業都市グラスゴーは荒れ果てていた。 清掃員のストにより町中にゴミがあふれ、 ネズミが走り回る。 ここに両親、 姉・妹と暮らす12才の少年、 少年の夢は新興住宅地の小ぎれいなショートケーキハウスに引っ越すことだった・・
新作でもクラシックスでもないが偶然見た。 なかなかの作品だったのでメモしておく。 監督はリン・ラムジーという女性だが、 いわゆる女性視点などほとんど感じない。 それもそのはず、 監督の兄の幼い頃をヒントに製作したらしく、 12才だった兄の心をトレースしたセミ・ドキュメンタリーでもあるのだ。 それらしい邦題が付いているが、 原題は "ネズミ獲り"。
撮影風景:ラムジー監督 (中央) と子供たち
退屈そうにカーテンに絡まって遊ぶ子供、 長靴の中にズボンの裾を入れるように母から注意されるが、 聞かずに裏手の用水路に遊びに行く・・ 出だしから、 どことなく異様なムードである。 そして用水路で事件は起きる。
少年の父はダンディなルックスだが、 よく見ると頬に刃物で受けたような傷がある。 悪い男ではなさそうだが、 テレビでサッカー中継を見てはエキサイトする、 うだつの上がらない男のようだ。 姉は母の口紅をつけてこっそりとどこかへ出かける。
街の不良少年どもが知恵遅れの子をからかう。 ネズミを風船にくくりつけて飛ばしてしまう。 彼らが慰み者にしている少女と仲良くなる少年。 ふとバスに乗り工事中の新興住宅地へ。 (YouTubeのワンシーンはこのあたり)
他愛のない日常も少しずつ悪夢に浸食され、 少年とその家族はこの生活を抜け出すことができるのだろうか、 あるいは用水路の底に沈んだまま浮かび上がることはないのか。 映像にも音にも才気溢れる秀作。
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