3.03.2010
ミニマム・インカム制 賛成^ ^ 「プレシャス」
あちこちで賞を取ったりノミネートされたりしている作品の大半は、 当ブログではフォロー済み。 だが、 これがまだだった。 プレシャス・・ 皮肉な名前で呼ばれる彼女は、 二人目の子供を妊娠して中学を追い出される。
ソーシャルワーカーやフリーススクールの教師だったサファイアの小説 "プッシュ" が原作、 とサブタイトルの通り。 Push というのは '押す' という意味の他に出産の時の 'いきむ' という意味もある。 感動の・・ と接頭語が付くようなニュアンスで紹介されがちだが、 そんな甘い映画ではない。 悲惨で限りなく救いのない、 それでいて今のアメリカでは珍しくないであろう話なのだ。
プレシャスの子供の父親は、 母のボーイフレンドであり、 母の怒りは男ではなく娘に向かう。 取りやすいところから取ろうとする税金のように。 マライヤ・キャリーが不思議な表情で演じるソーシャルワーカーへの最後の告白によって、 プレシャス (愛おしい) という呼び名も本来は母が付けたものであることがわかる。 大切で愛おしかった娘は、 いつから憎悪の対象となり、 そのことはプレシャスとその子供たちの間にも繰り返されるのか。 繰り返してはいけないというより、 繰り返すことすらできない事態となるのだが。
中学を放校となったプレシャスはフリースクールに通うことになる。 読み書きを覚え、 中学卒業資格を取って高校へ、 さらには大学へ。 愛しい子供たちのためにもそうしたいとの夢は着実に実現へ向かっているかに見えた。 境遇は違えど同様にフリースクールへ通うことになった仲間、 献身的な教師に支えられて、 ひとときの安らぎを味わうプレシャスであったが "あなたには私たちを救えない" というのが最後のセリフとなる。
生活保護を引き出す手腕だけに長けた母も、 ただの悲しい人だったという事実を噛みしめながら、 解決策はないがそれでも歩き出すプレシャス・・ 重い現実とユーモア、 ゴスペルのリミックスが絶妙の感覚で、 だからといって自分にどれほどのコミットができるかわからない作品ではある。 日本では遅れに遅れてのGW公開、 見た映画の賞取りを見守ることはかなわず、 賞の噂を興業に反映させる国の観客であることもまた悲惨な事実と言えるだろう。 せめて世界に先がけて、 ミニマム・インカム制の導入を推し進めてもらいたいものだ^ ^
(追記) ベーシック・インカムという言い方のほうがより一般的なようです。 近年ヨーロッパや日本で議論されている '最低限所得保障' のこと。 こちらでも触れました。
プレシャス (2009) 日本公開4/24 公式サイト・予告 象のロケット
Precious: Based on the Novel Push by Sapphire
監督 リー・ダニエルズ 原作 サファイア
ガボレイ・シディベ モニーク ポーラ・パットン
マライア・キャリー レニー・クラヴィッツ
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1 コメント:
こういう事件が実際にあったら面白くない?
アメリカのフリースクールで銃乱射 5人死亡、11人負傷
[USO]1日2時9分
カリフォルニア州南部にあるフリースクールで、現地時間の31日、9時ごろ、少年が銃を乱射し5人を殺害し、11人に重軽傷を負わせた。
複数の現地メディアは、犯人の少年は黒いトレンチコートのような服を着ていたと報道。地元警察によると、少年は銃を乱射後に、玄関で銃で自分の頭部を打ち抜き自殺、フリースクールの生徒はすでに避難しており、現場では救急隊員らが対応に当たっている。
私のブログ「アメリカ銃事件報告の書」のカテゴリー「USOニュース」の記事より一部抜粋 詳しくは(全文は)「アメリカ銃事件報告の書」にて
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