10.01.2015

アイオワの主婦 SPY



久しぶりにエントリーしたのがコレかと(いい意味で)感慨を覚えずにはいられない。スパイ映画というジャンルがいつの頃からか確立され、とくに好きなジャンルではないものの、オープニング曲の曲調から笑える微妙な凝り方。スパイ映画のパロディというより、こんなスパイ物もあっていいだろう的なノリなので、元ネタにこだわらず楽しめる。

CIAに入社(入所?)して10年、ぽっちゃり型への偏見から常にサポート役だったスーザン・クーパー。実は訓練時の成績が優秀すぎて、自分で恐くなって内勤を希望したという経緯があった。しかしスーザンが愛するブラッドリー・ファイン(ジュード・ロウ)の危機に際して、ついにエージェントデビュー。そして思わぬスーパースパイの誕生となる。

ジュード・ロウ、ジェイソン・ステイサムという豪華キャスト自体が笑える。しかし散りばめられたギャグの微妙な質が日本で受けるかどうかは定かではない。非常にハイリスク・ハイリターン?なスパイ映画と言えるのではないかと思うが、公開されたら乞うご期待。エントリータイトルは偽装IDの設定。




SPY (2015) 日本未公開
監督 ポール・フェイグ 
メリッサ・マッカーシー ジュード・ロウ ジェイソン・ステイサム 
ローズ・バーン モリーナ・バッカリン ミランダ・ハート 
ピーター・セラフィノウィッツ アリソン・ジャネイ 50 Cent 

7.10.2015

人を見る目 「ドラフト・デイ」



アメフトはぜんぜん知らないし、ケビン・コスナーのファンでもないが、なぜかウォッチリストに入っていたので見たら悪くなかった。ドラフトと言えば日本野球での一昔前の状況しか知らないが、こんな公認の裏取引きのようなことがあるのだろうか。

コスナー演じるジェネラルマネージャーのサニーは、ライバルチームと取引して、向こう3年分の「一巡指名権」と引き換えに花形選手ボー・キャラハンを獲得する手はずとなる。花形ではあるが棚ぼたのこの選手についてよく知らず、急きょ調査。当然ながら成績は良く、事件も起こさず、どこにも欠点はないかに見えたこの選手だが1つ気になることがあった。彼の21才の誕生パーティにチアリーダーは多数来たが、大学のチームメイトが誰一人として来なかったというのだ。

サニーはオーナーからも花形選手を採れとプレッシャーをかけられ、キャラハン獲得の噂に外野は盛り上がったが、ギリギリまで最終決断を先延ばし、タイムリミットの数分前にようやく答えを出す。誰が何と言おうと自分が見込んだ選手を集め、自分のチームを作るのが俺の仕事だ。それがサニーの結論だった。クビを覚悟で結論を出したサニーは吹っ切れて、その後は次々と新手の取引きを繰り出す。

鳴り物入りの破格な契約金で獲得しても想定通りに活躍してくれるとは限らないのが世の常だろうし、ましてやこのところ芳しくないチーム。人を選ぶというのは難しいことだろう。だから成績で選ぶ?他人の評価を総合する?そういう尺度が働く世界では世渡り上手が有利だろう。キャラハンはまさにそういうタイプだった。どんな質問にもソツなく答えるが、サニーは歯ごたえを感じず。

NFLドラフトの長い一日を切り取って、映画としてじゅうぶん成立しているわけだが、人を見る目というものがあやふやになっている状況がアメリカにもあるからこそ取り上げられたのだろうし、アメリカ臭い題材でありながら、ハリウッド映画が内向になったと言われる昨今、意外に内向きではない内容を持った作品ではないかと思う。また人事部長などにも見て欲しい作品と言える。

ドラフト・デイ DRAFT DAY (2014) 日本公開2015 公式サイト
監督 アイヴァン・ライトマン 
ケビン・コスナー ジェニファー・ガーナー エレン・バースティン 

6.08.2015

フォローしないで IT FOLLOWS



トレーラーを見ると殺人鬼モノかなという印象だが、まったく違っていて、都市伝説的な不思議エピソード。予想以上に不気味だし、フォローという現代的な暗示を含め、いろんなニュアンスが盛り込まれていながら、シンプルでオリジナリティを感じる新鮮な作品となっている。

何かがついてくる…。それは色情霊のように、たいてい裸に近い格好で、見たことのある人だったり、見たことはないがどこにでもいそうな人だったり。しかし確実に自分に近づいてくる。それに捕まるとどうなるかは最初のシークエンスでしっかり見せてくれる。これにフォローされている者と寝たら、今度それは自分をフォローしてくる。助かるには別の誰かと寝るしかないが、相手が死ん場合はまた戻ってくる。

風にそよぐ木々、プール、古いブラウン管のテレビ、白黒映画などゴシック的な引用を取り入れながら、音楽は懐かしい感じのジョン・カーペンター風だったり。かと思えば、構図などは凝っていてモダンな気がするし、スローモーションやステディカムなどもさりげなく入ってくる。そのくせ詰め込みすぎでもなく涼しげで、巧みな計算の得意なセンスのある監督といった印象。

目立ったキャストはいないものの、退屈で気だるい若かりし日の夏休みをふと思い出すような、ああホラーってこれいいんだよな、とホラー映画のアーキタイプのように自分的には思えた作品。というのは褒めすぎかもしれないが、こういう作品が今後増えてくるとしたら歓迎すべきトレンドではある。公開されるのかされないのかは知らないが、上映するならまさに今という季節だろう。そんなことを書きながらふと空を見上げると、子供の頃の早朝ラジオ体操で見た空と同じで、物悲しく爽やかな朝だ。




イット・フォローズ IT FOLLOWS (2014) 日本公開2016
監督 デビッド・ロバート・ミッチェル 
マイカ・モンロー キーア・ギルクリスト ダニエル・ゾボット 
ジェイク・ウィアリー リリ・セペ オリヴィア・ルカルディ 
ベイリー・スプライ 
イット・フォローズ [Blu-ray]
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5.23.2015

中庭の木 Ex Machina



監督は眠そうな目をして、このエヴァのデザインも自分で考えたそうだが、この山奥の研究施設が外から見たらボロい小屋なのに、地下には中庭を配した空間が広がっているなど、建築にも造形の深そうな人だ。AUTOMATAのように、人類は機械生命体を生み出すのが役割で、人類の進化形こそがAIだという微妙な屁理屈はなかなかいいし、面白い映画ではあった。

CGにはお金がかかってそうだが、その分キャストは節約され登場人物はほぼ4人、ロケーションもほとんどが山小屋内というワンシチュエーション・ドラマ。世界を覆う検索エンジンもAIを作る過程に過ぎなかったと語る男は、この施設にこもって、たった一人で、なぜか女性型ばかりバージョン9.6まで完成させたという家内工業的なニュアンスも少し笑える。ブルーボックス社の優秀なプログラマーだから選ばれたという青年も、実は彼女がいなくダマされやすそうだからという理由で選ばれており、エヴァの顔も実は青年がよく見ていたポルノサイトから収集されていたなど、いい感じでB級っぽさが露呈する。

もう一人、キョウコと呼ばれる謎の寿司職人が出てくる。プロフィールでは東京出身のバレエダンサーということらしいが、映画で披露するダンスはなぜか70年代風ディスコ・ステップ。CEOはこれだけの天才でありながら、毎日のように酒に酔いつぶれるわ、ちょっと来いと言ってポロックの絵の前で「もし画家が、これから自分が何を描こうとしているかわからないなら描けない者であれば、点すら描けない」という持論を説くわで、なるほどなあと思いつつ、なぜか笑いを誘うシーンに満ちている映画だ。もちろん、いい意味で。

青年がエヴァに、描きたいものを自分で選んで描いてくれと言うと、彼女は中庭の木を描く。生まれてこの方、部屋から出たことがないからだが、そのことがなぜか可愛いと思った。AIと言えど入力される情報が乏しいとアウトプットも子供っぽい。1000年以内に人類は滅亡するとホーキング博士は語ったそうだが、対象が人間か機械かを見定めてからでないと愛せない者は、何も愛せないということだろうか。愛にあふれた人類は、やはり次の進化のカタチであるものを生み出すためのステップなのかもしれない。乞うご期待。




エクス・マキナ Ex Machina (2015イギリス) 日本公開未定
脚本・監督 アレックス・ガーランド 
ドーナル・グリーソン オスカー・アイザック アリシア・ヴィキャンデル 
ソノヤ・ミズノ 

5.09.2015

問うな “GOD'S NOT DEAD”



続けざまに何かしら書きたくなった作品、アメリカの大学での実話をベースにしているとのこと。無神論者の哲学教授が単位を人質に、学生に「神は死んだ」と本人のサイン入りで書かせる。クリスチャンの学生が孤軍これに抵抗し、最終的には教授を論破する。改宗して家を追い出される女学生、ガンを宣告される人気ブロガーなどのエピソードが平行して散りばめられる。宗教臭い話は苦手で、ともすれば自分は教授派だと思っていたところ、見ているうちにこの教授が思いっきりウザくなり、最後はロックでミサをやるようなバンドで締めくくられてちょっと軽いなと思ったが、ヘンなすがすがしさが残った。

この教授は無神論に改宗せよと言っているに過ぎず、それは無神論という名の宗教とも言え、とくに信者集めをしようというわけでもなく、勝手に信じてくれればいいというクリスチャン側の態度に好感が持てたというところか。プロパガンダ映画でもないようだが、ロックでミサ、と同様のエンタテイメント性が上手く使われているのかもしれない。しかしながら宗教というコンセプトはさておき、信仰ということについて多少なりとも考察したくなるテンションのある作品だと言える。

去年、日本公開されてはいるものの、果たして客は入ったのか。IMDbではそこそこ書き込みも多く、レビューを見て気になるのはこの映画がoffensive(攻撃的)と評されていることだ。へえ、やはりそうなっちゃうのか、とは思うものの、新鮮さを感じる作品ではあった。しっかりNOTと否定しているのに邦題はなぜ問うのか。そこだけイラついた。


神は死んだのか GOD'S NOT DEAD (2014) 公式サイト
監督 ハロルド・クロンク 
シェーン・ハーパー ケヴィン・ソーボ デヴィッド・A・R・ホワイト 
ハディール・シトゥ コリー・オリバー トリシャ・ラガチェ ニュースボーイズ