2.15.2014

モノクロの中のスマホ 「ストラッター」



クラウドファンディングで製作費を募り、 2万ドルでできたらしい。 初期のジム・ジャームッシュを思わせるモノクロ。 冒頭、 チャップリン風のレトロに走り、 その後はやはり、 けだるい展開。 無名の俳優が地味ながらリアルな雰囲気を醸し出している。 表面的な雰囲気でなく、 ある種ドキュメンタリーのように登場人物に存在感がある。

監督は若いのかと思っていたら、 主人公たちの親くらいの世代。 スマホも出てくるのでほぼ現在を切り取ってはいるものの、 そこに描かれたメンタリティというか心意気は、 監督たちの若い頃の時間がそのまま閉じ込められているように思う。 キャラの違いを超えてリスペクトしあったり、 自信があるようでいてすぐに頓挫し、 目標があるようで退屈な感じは、 懐かしいような、 あまり見たくないような、 独特な違和感にあふれ、 それでもやはり見てしまう。

そして結局はどこへも行けず、 挫折感でも孤独感でもなく、 ただ、 けだるく時を過ごして、 いつのまにか歳を取ってしまったな、 というような苦味だけが残る。 あの頃、 永遠にあるかに思えた時間は風船の空気が抜けるようにどこかへ消え、 無自覚に人生を浪費したツケが回ってきても、 どうせ死ねばチャラだろと開き直る以外に道もなく、 それより大事なことがあるじゃないかとギターを爪弾くが実際にのところこれといった確信はない。 そんなロックなオッサン、 オバサンが作った映画であることは間違いない。

そのオッサン、 オバサンと大差のないであろう自分が見て、 YouTubeでふと大昔の曲を検索してみるときと同様の気分になりはしたが、 製作前にこのクラウドファンディングを知っていたとして、 幾ばくかの投資をしてこの映画が見たいと思ったかどうかは定かではない。 いやむしろ、 見たくなかった^ ^ もっとジャスト、 自分の年代の青春が描かれるとしても、 そんなものにムダ金を使いたくない^ ^ 2万ドルの一部を出資した人は果たして満足したのだろうか。 IMDbにはレビューの一つも書かれておらず、 オフィシャルフェイスブックからも熱気は感じられない。 奇しくもクラウドファンディングによる映画製作の未来に暗雲を立ち込めさせる結果となっているように思えるのは気のせいだろうか^ ^

・・と、 かなり痛烈に皮肉ってしまったが、 本当のところは嫌いではなかったりするのが、 自分でもどうかなと。 。



ストラッター STRUTTER (2012) 日本公開2013.9月 公式サイト
監督 アリソン・アンダース+カート・ヴォス  象のロケット
フランネリー・ランスフォード ダンテ・ホワイト・アリアーノ 
エリース・ホランダー クレイグ・スターク 

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