11.14.2013

人を殺して家を買おう 「THE ICEMAN」



家族思いの父親、 表向きの職業はいろいろ取り繕うが、 実は殺し屋だった。 しかも実話ということで、 これは面白そうと思ったが、 見てみるとイマイチ。 マイケル・シャノンはがんばっているが、 脚色が冴えない。 ポイントが絞り込めていない、 流れが整理されてない。 。 せっかくの題材が惜しいことになっている。

時代は70年代、 この男のキモの座った態度と実務遂行能力は地元のマフィアに見出され、 以降、 男は依頼を受けて人を殺し、 稼ぐ。 男は妻と二人の娘を何より大切にし、 彼女たちの前ではカタギを装っている。 しかし80年代に入ると稼業は悪いほうに傾き、 立て直せないまま、 妻の望んだ一軒家購入を前にして破綻する。 '86年に逮捕され、 2006年に刑務所で他界。 二度と家族に会うことはなかった・・ この哀れさは何とも言いがたいが、 そんな男を生み出した社会構造にメスが入るわけでも、 男個人の欠落が掘り下げられるわけでもない。

しいて言えば多少身につまされるのは、 受注産業の悲しさか。 いくら腕の立つ冷徹な殺し屋でも、 依頼がないことには始まらない。 別の殺し屋とパートナーを組んでみたり、 競合他組織からの依頼も背に腹は代えられない。 クライアントあっての仕事につく者は大なり小なり共感できる部分か。

小さな依頼を積み重ねて100人殺したとしても、 ドカンと桁違いの大量虐殺を行う戦争ビジネスとはスケールが違うなと、 ついつい自虐的に見てしまう。 良くも悪くも不出来な作品ではあるが、 見方によっては楽しめる。

THE ICEMAN 氷の処刑人 (2012) 日本公開2013.11/9~ 公式サイト・予告
監督 アリエル・ヴロメン  象のロケット 
マイケル・シャノン ウィノナ・ライダー レイ・リオッタ 
ロバート・ダヴィ ジェームズ・フランコ スティーヴン・ドーフ 

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