2.21.2013

ハードウェアとしての人間 “Robot and Frank”



アカデミー賞が取りざたされるなか、 そんな派手な賞ではないがシッチェスやサンダンスでしっかりと評価されているこの作品、 なかなかよかったね。 確実にこういう未来がやってきそうな、 自分もあとウン十年すれば、 ロボットに看護されてるのかもしれないなどと感慨深く見た^ ^

一人暮らしのじいさん、 息子や娘は遠くの街、 あるいは外国で暮らしていて、 奥さんとは30年前に離婚したらしい。 父親を案じる、 あるいは めんどくさがる息子によってロボットが与えられる。 最初は気に食わない様子のじいさんだったが、 料理、 健康管理、 よくできたロボットだった。

一括りにじいさんと言っても実際はさまざまで、 家で大人しくしているのはむしろ少数派かもしれない。 このじいさんフランクは思いのほか不良で、 若い頃は宝石泥棒だったのだ。 刑務所に二度入り、 30歳で引退したと言うが、 完璧な計画と実行、 誰も傷つけず、 ダマすのは保険会社のバカだけ、 という仕事に今でも血が騒ぐ。 ふと鍵の開け方をロボットに伝授すると優秀にマスターする。 ダイヤル式の金庫などは人間よりもはるかにハイスピードで番号を合わせる。

フランクは今はじめてこいつの真価を見出し、 こいつが気に入った。 電子図書館に改装される建物から 「トンキホーテ」 を盗み出し、 さらにはその運営団体であるウサンくさいNPOリーダーの自宅から、 最新のセキュリティをかいくぐってドでかい宝石を盗み出す。 ロボットは盗みのパートナーを優秀にこなすがそれは、 そのことでじいさんの状態が良くなるという健康管理ロボットとしてのプログラムにかなったことだった。

寂しいから人間の代用とする、 あるいは面倒なことはロボットにやらせるというより、 優秀なパートナー (盗みの) としてフランクはその存在を必要とすることとなった。 しかしロボットにあくまで名前はなく、 ただロボットと呼ばれ、 ロボットは証拠隠滅のために自分のメモリーを消去しろと言う。

最後は急展開してショートカットぎみに終わるが、 記憶こそが自分である、 といった志向でもなく、 むしろプログラムが優秀であるほどに、 想定通りには生きられない人間というものを描いているのかもしれない。 しかしなかなかいいロボットだ。 白いボディを黒い布で覆い、 気配を感じたら、 さっと壁際に身を隠すあたりが何とも言えない。 日本公開は半年先らしいが、 乞うご期待。 願わくば説明的すぎる邦題を公開までに変えて。




Robot and Frank (2012) 日本公開2013.8/10
素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー 公式サイト
監督 ジェイク・シュライアー 
脚本 クリストファー・フォード 
フランク・ランジェラ スーザン・サランドン ジェームズ・マースデン 
リヴ・タイラー ジェレミー・シスト ジェレミー・ストロング 
ピーター・サースガード 

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