1.04.2013
なくした原稿と人生 THE WORDS
前回のエントリーからは タランティーノ presents "The Man With Iron Fists" や 「96時間 リベンジ」 なども見た。 悪くはなかったが想像通りで書くこともなく 「るろうに剣心」 にいたってはざっと流して終わったでごじゃる。
エンターテーメント作品にも疲れたし文芸調を、 ということでコレ。 作家のサイン会/朗読会から始まり、 その本の内容も作家の物語。 文芸作品のように見えたが、 原作はなくオリジナル脚本らしい。
作家志望の青年は、 生活苦にもかかわらず結婚しパリへハネムーン。 そこで古いカバンをみつける。 買うときには気づかなったが中には古い原稿が残されていた。 これに感銘を受けた青年は原稿を丸写し、 タイプライターがパソコンに変わっても物語は評価され、 絶賛されて一躍 時の人となる青年。 そこへ一人の老人、 あれは自分が書いたものだと。
これらのシーンは朗読会での本の内容であり、 老人が書いたとされるエピソードも小説中の小説となっている。 第二次大戦後のパリへ時間は飛び、 真の作者の幸せと悲しみが眩しく描かれる。 キッチンに立つ女性へのフェチも何度か描かれる^ ^
盗作について、 そもそも老人は何も要求しておらず、 ただ伝えたかったのだと言う。 しかし青年は葛藤し、 すべてを白日の下にさらしたいという欲求にかられるが、 結局一つの選択をし、 それが青年の人生となる。 原稿をなくしたことが老人の人生を決めたように。
"選択こそが人生" というテーマはそれなりの重みがあるが、 素晴らしい作品は時代を越えて理解されるというコモディティな感覚と、 盗作以前の青年が編集者から突きつけられる "素晴らしい作品だが今の時代に君のマーケットはない" という言葉がコンフリクトしている。
それに青年が妻に告白する I didn't write one single word. というセリフも、 どんな作家も言葉を発明したわけでなく組み合わせたにすぎないという考察などはなく、 浅さやオリジナル '文芸' 脚本の限界を感じる。 しかし老人がまだ若かった頃、 偶然 駅でかつての妻に再会するとき、 一言も交わさないまま軽く手を振るシーンなどは映画的で素敵に思えた。 さて日本公開はあるのだろうか。 あるとしても いつだろうか。 いつかどこかで乞うご期待。
ザ・ワーズ 盗まれた人生 THE WORDS (2012) 日本公開2013.3
監督 ブライアン・クラグマン+リー・スタンサル
デニス・クエイド ブラッドリー・クーパー ゾーイ・サルダナ
オリヴィア・ワイルド ブライアン・クラグマン ノラ・アルネゼデール
ジェレミー・アイアンズ
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