1.10.2013
注射違反 「パンクチュア」
based on a true story と書いとけば、 とりあえず重みが出るかもしれない。 だがこれは、 相当に重みのある事実ではないだろうか。 いつの頃からか注射器がガラス製からプラスチックに変わったのは知っているが、 その背景には、 医療器具の製造や流通を独占する組織があったということらしい。 煮沸消毒のできないプラスチックの注射器が、 実はHIVやB型肝炎の広がる要因だったというのだ。
この状況に風穴をあけるのは型破りな弁護士。 型破りと言っても自信家で、 派手な服装で法廷に立ち、 ドラッガーで、 アシスタントにハンドジョブをさせる程度だが、 その奥には正義の血が隠されていた。 旧友と二人で設立した貧乏事務所の売名に動く日々のなか、 この事件に突き当たる。 年間100人近くが、 注射器の事故による不慮の感染で亡くなっている。 片やセイフティ・ニードルなる発明があるにもかかわらず、 病院側はこれを使おうとしない。
劇中でも二児の母である看護師が、 暴れる救急患者への注射器を自分に刺してしまうことでHIV患者となる。 セイフティ・ニードルはこうした事故を防ぐための特殊な機構を備え、 また再使用のできない構造を持つイノベイティブな製品だったが、 なぜか無視し続けられた。
巨悪に挑むストーリーは疲れるし、 この作品も映画としての完成度は高いとは言えずスムーズには見れないかもしれない。 しかしエンディングは壮快で、 こういう事実があったこと、 こういう男がいたことを知るのは意義がある。 そんな作品に限って未公開で、 合衆国の陰謀とかトンチンカンなサブ題が付いていたりで借りる気もしない人がほとんどだろう。
でも、 こんな注射器は見たことがないし、 日本ではどうなっているのだろう。 医療関係者にはぜひ見てほしいし、 状況を教えてほしい。 痛くない注射器というのを聞いたことがあるが、 うち子も使ったことがない。 やはり、 何かある?
パンクチュア 合衆国の陰謀 Puncture (2011) 日本未公開
監督 アダム&マーク・カッセン
クリス・エヴァンス ヴィネッサ・ショウ
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