11.10.2011
青春・文系 「僕と彼女とオーソン・ウェルズ」
なんとなくスノッブで固そうな雰囲気、 未公開もしょうがないかとは思うが、 普通にいい作品だ。 何が普通かと聞かれるとつらいが、 特別エッジが効いているわけでも、 タイムリーな何かがあるわけでもないのに、 永遠の可能性としての青春への賞賛とレクイエムがそこには埋め込まれている。 ふと気まぐれにDVDを借りてみると意外な感銘を受けるのではないか。 そんな意味で普通だが、 いい。
オーソン・ウェルズを好きな人が見て面白いかというと、 恐らく拍子抜けするだろう。 傲慢で野心的な演劇人としてしか出て来ないから。 彼が注目され始めた時代、 1937年のNYで、 たまたま一人の高校生だった男子の1週間を切り取った物語と言ったほうが早いだろう。 知らない時代へのノスタルジーとともに、 自分自身の可能性に一歩足を踏み出して味わう苦さ。 そのあたりのさじ加減がなかなか心憎い。
エフロン演じる18才は、 演劇や詩、 音楽に意識を走らせるバリバリの文系青年。 当時は珍しくなかったのかもしれないが、 今ならさしずめ 'ひとり文芸部員' か。 。 映画では 「風と共に去りぬ」 がまだ企画段階だった時代。 青年は若々しい自負とハッタリでウェルズの劇団に潜り込む。 1週間後には舞台の初日が控えている。
才人ウェルズが彼なりに "決着をつける" 舞台の片隅、 その特殊でありながら、 ある意味では社会の縮図とも言える状況を、 青年は青年なりに上手く軽やかに泳ぎ、 自分を試し、 背伸びした恋をし、 確かな手応えを得たにもかかわらず、 それはわずか1週間で燃え尽きる。
世界の殻は堅かったが、 それでもそれを挫折と呼ぶにはあまりにあっけなく、 照れ笑いとともにすがすがしく笑い飛ばせる若さと可能性だけがそこにはあった・・ みたいな感じ。 。 もう若くはない人も、 観れば少しだけ若さを取り戻した気になる、 そんな映画ではないだろうか^ ^ お試しあれ。
僕と彼女とオーソン・ウェルズ Me and Orson Welles (2008イギリス) 日本未公開
監督 リチャード・リンクレイター
ザック・エフロン クレア・デインズ クリスチャン・マッケイ ゾーイ・カザン
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