5.02.2011

ポケットいっぱいの不幸 「ラビット・ホール」



次回アカデミー賞の呼び声も高い作品ではあるが、 きちんと描かれたメジャー級の作品という意外は正直、 感銘を受けることはなかった。 ホウレイ線が気になりだしたキッドマンも、 母役のウィーストも悪くないが、 話が話なんだと思うね。 。

小さな息子を亡くした夫婦。 犬を追いかけて道に飛び出したらしい。 1年弱を過ぎ、 落ち着いたかに見えた夫婦の間には大きな傷が横たえられていた。 妻はすべてを処分し家も売ってやり直そうと言うが、 夫はすべてを思い出として残しておきたかった。 グループセラピーの席でも妻は、 他の同じ境遇にある夫婦に暴言を吐き、 夫は一人になってもセラピーに通うが、 そこで知り合った女と 一緒にマリファナを楽しむ関係になる。

一方、 キッドマン演じるベッカは街で一人の高校生を見かけ、 後をつける。 彼こそが事故の加害者なのだが、 今になってなぜか直接 話をしたいと思う。 青年は大学も決まり、 可能性に満ちた年齢にあった。 ベッカも夫も彼を追いつめるつもりはなく、 むしろ事故が陰を落とさないように願った。 息子が生きていたら、 いつかそんな日を迎えたであろうとの夢を重ね合わせるかのように。

青年はコミックを描いていた。 タイトルをラビット・ホールと言い、 図書館で借りた "平行宇宙" という本はリサーチだったと語る。 コミックに描かれるのは、 少年が亡き父を探し、 ラビット・ホールと呼ばれる時空の抜け穴を通って平行宇宙を旅するという物語だったが、 作者の青年も幼い頃に父を亡くしたと語る。

ベッカの兄も何年か前に亡くなっており、 母とは、 息子を亡くした者同士のシンパシーがあるはずだったが、 そうはしっくり行かず、 妹は妊娠がわかり・・ テーマは、 残された者がどのように生きて行くか。 元通りになることはない、 それを受け入れてしまえば楽になれる。 そのようなことだろうか。 傷は癒えたか? そう娘に聞かれ、 母は答える。 "癒えることはないけど、 押しつぶされそうな痛みが軽くなって、 いまはポケットに入れて持ち運べるくらい" と。

加害者の高校生役マイルズ・テラーが不思議な存在感を漂わせるが、 彼との平行宇宙についての会話の中でベッカは "どこ別の宇宙に、 幸せな自分がいると考えるのは悪くない" と答える。 賞取りのためだけの映画と勘ぐってしまうくらい、 毒にも薬にも癒しにも励ましにもならない戯曲原作の映画ではあるが、 この秋、 乞うご期待^ ^




ラビット・ホール Rabbit Hole (2010) 日本公開2011.11/5予定 
監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル 
原作戯曲・脚本 デビッド・リンゼイ=アベアー 
ニコール・キッドマン アーロン・エッカート マイルズ・テラー 
タミー・ブランチャード サンドラ・オー ダイアン・ウィースト 

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