4.19.2011

いいxxxね "CYRUS"



もうすぐDVDスルーされるこの映画、 思わずネタにしたくなる部分が多々ある。 まずこの邦題 (下のDVDパッケージをご覧あれ) ・・ サイラスは再婚相手の息子の名前だが、 原題はそれだけ。 なのに よくもまあ、 作り込んだものだ。 困った時の名前タイトル、 ということで、 外国作品には名前をタイトルにした映画が数多く存在するが、 邦画では少ない気がする。

» 参照 イワモトケンチの 「菊池」 が抜けてるね^ ^

名前だけでは持たない、 よくわからない、 あるいはセールスがよくないということで、 説明しつつ狙った邦題を付けたつもりだろうが、 ようするにぶち壊しだ^ ^ 説明はコピーに書けばいいし、 こういうタイトルにすると口コミ効果を殺してしまう。 こんなダサいタイトルは口に出せないし、 取り上げるのも気恥ずかしい。 原題の名前タイトルも悩んだあげくという気はするが、 過去にない名前だから検索しやすく、 何となく話題にしたくなる名前が選ばれていることは確かだ。 「ハンナ」 (2011) なんかもそうだ。

物語自体は再婚する母親と、 母の愛を独り占めしたい息子、 新参者である義理の父の関係を描いているだけで、 それほど目新しい話でもないのだが、 気になるのは なぜリドリー&トニー・スコットが兄弟して製作総指揮なのか。 脚本・監督も兄弟じゃないか。 兄弟仁義かよ。 。

ありきたりなプロットも、 チューンナップしだいでこれだけ走ります、 ということか。 息子の年齢は22才、 小さな子供ではないのだ。 母一人子一人 同居という時点で十分マザコンなのに、 さらにはシンセサイザーで作曲をするアーティスト気取りの引きこもりなのだ。 高校卒業資格は16才でっとくに取得したとか、 自宅学習とか言って口は達者だが、 ようするにちょっとヤバい。 おまけにデブ。

ジョン・C・ライリー演じるジョン、、 が冒頭のパーティで踊る曲。 これが ヒューマン・リーグの "Don't you want me baby" というのも非常にひっかかる。 (もちろんライリーのコワモテもひっかかるが) 監督の個人的な (あるいは兄弟仁義な) 選曲なのかもしれないが、 これをジョンが名曲だと言って一人盛り上がり、 周りから寒い視線を浴びせられているところへ、 マリサ・トメイ演じるモリーが歌いながら参入してくるシーンの、 何とも言えない微妙な味わい。 この気恥ずかしさがテーマの映画とも言える。

ジョンとモリーの出会いのシーンも笑える。 ジョンが飲み過ぎて、 庭の片隅で立ちションしているところへ、 突如 茂みから顔を出すモリー。 出会い頭で一言 "いいxxxね" ・・

サイラスを女手一つで育て上げたモリーも、 離婚した妻がいまだに仕事をくれるクライアントであるフリーの編集者ジョンも、 こうした恥ずかしい部分をいっぱい持っているが、 もっと恥ずかしいのは、 貪欲にも それをぶつけ合って新しい人間関係を築こうとするところ。 こういうニュアンスには日本未公開となるのもわかる暑苦しさを感じると同時に、 人間これでいいのでは、 なんて感慨を覚えるところがこの作品の憎いところ。

手持ちカメラ多用のスタイルも新しくはないが、 徹底して使うことで俳優の演技に生で触れる気がするし、 一貫した緊張感が伝わる。 そして こういう話の中でも、 誰一人として正論や理想論を説いたりしない。 子離れしなさい、 もう一人立ちする年だ、 うんぬんかんぬん。 むしろ嘘には嘘で対抗し、 俺も必死だったんだとか、 しょうがないなあと思いながら相手をするような優しさが、 一昔前の余裕ある優しさとは一線を画す、 自分もギリギリなのに、 寄って来た捨て犬に ついパンを分け与えてしまうような。

当然、 ラブコメを期待すると裏切られるし、 人間ドラマかと思って見たらイヤな気分になるかもしれない。 まあ、 この邦題では誰も人間ドラマとは思わないか。 気になったら見てチョンマゲ。 。 字幕はかなりラフだったが。



僕の大切な人とそのクソガキ CYRUS (2010) 日本未公開 
脚本・監督 ジェイ&マーク・デュプラス 
製作総指揮 リドリートニー・スコット 
ジョン・C・ライリー ジョナ・ヒル マリサ・トメイ 
僕の大切な人と、 そのクソガキ [DVD][DVD]

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2 コメント:

mig さんのコメント...

楽しみな作品。邦題がツボで決定したとき笑いました

kiona さんのコメント...

>mig さん
注目してくれる人がいてよかった^ ^