3.10.2011

すべる話 「マン・オン・ザ・ムーン」



普段は新作ばかり追っているが、 たまには気まぐれに旧作を取り上げてみよう。 ジム・キャリーは好きなのに、 これは完全に見逃していた。 内容も評価がまっ二つに別れるタイプのものであろうから、 時間が過ぎれば忘れられ話題になることもなくなったのだろう。 2000年に日本公開されているが、 個人的にあの頃は娘が生まれて間もない時期で、 いろいろと忙しかったことが思い出される。 こんな映画があったことすら初耳だった。

きっかけは忘れたが、 何気なしに下のワンシーンを見た。 これがすごく独特のノリを見せていたので面白そうだと・・ てっきり新作かと勘違いして調べていたら、 何だ10年以上も前の作品かと。

この伝記の主であるアンディ・カウフマンは、 まさに去年の当ブログのテーマでもあった "孤高" の人なのだが、 全く知らなかった^ ^ 映画通を気取っていても、 こうした穴はたまに出現するのだが "人生は幻想" という思想を身をもって体現したカウフマンという人に驚き、 今より少し若いキャリーにも感銘を新たにし、 ダニー・デビートやコートニー・ラヴといった顔ぶれにも時間を超越した不思議な感慨を覚える作品だった。

自らをコメディアンと呼ばせず、 コメディとジョークを明確に区別したアンディ・カウフマンは、 デビュー当時初のメジャーな仕事であったTVのコメディ番組にありがちな予定調和を毛嫌いする。 コメディアンでなく自分は "歌と踊りの人"?であると規定しながら、 計算された、 あるいはその場の空気への反動として生まれる笑いは、 最初は天才と賞賛され、 やがて、 どう転ぶかわからない不確定要素として人々から拒絶されることとなる。

タバコも吸わないのに肺ガンで、 35才の若さで他界するが、 それすら、 また悪趣味なジョークだと思われていたらしく、 葬儀も自らが歌うビデオで "フレンドリーな世界" にさよならを告げる。だが、 その1年後にカウフマンの分身であったラスベガスの架空のエンタテイナー、 トニー・クリフトンが復活するところで映画は終わっている。

マン・オン・ザ・ムーン・・ 地球人離れしたヤツという形容は、 その昔、 自分らの世代が "新人類" と呼ばれたことを思い出させる。 今どき誰もそんな言い方はしないが、 そう呼ばれた以上、 ただの人類になってしまうのはつまらないな、 との気概?を新たにさせられる忘れられた名作であった。




マン・オン・ザ・ムーン Man On The Moon (1999) 日本公開2000.5 象のロケット 
監督 ミロス・フォアマン 
ジム・キャリー ダニー・デビート コートニー・ラヴ ポール・ジアマッティ 

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