6.06.2010

食洗機で感電 Accidents Happen



監督のアンドリュー・ランカスターは 「ガレージ・デイズ」 (2002) で音楽を担当したり、 オーストラリアでミュージック・ビデオを制作していた人らしいが、 本作がトライベッカ映画祭をはじめインディペンデント・フィルムシーンで注目を浴びる。

アクシデントは起こる・・ 少年のちょっとした行動がきっかけで交通事故、 一家は悲痛な運命へとコマを進める。 娘を亡くし、 息子の一人は植物状態に。 そして夫婦は離婚、 そんな状況下での少年の成長を描く。 しばらく見なかったジーナ・デイビスが少年の母親役で圧倒的な存在感を放っていて、 最初はデイビスと気づかなかったのだが、 しだいにその演技力で気づかされていく。

舞台は70年代の終わり、 オーストラリアのキャストやスタッフが中心だが、 設定はアメリカのようだ。 友達の姉さんに誘惑されるシーンにかかる Blondie の "Dreaming" に思わず郷愁を誘われるが、 全編を通してサウンドトラックも秀逸。 実話を元にしたであろうエピソードの集積のような物語だが、 シリアスとコメディの境目にあるような感覚がなかなかよくて、 演出も冴えている。 悲劇的な事故ではあるが、 それはある意味では日常茶飯事であり神のジョークだということ。 その証拠にデイビス演じる母は、 離婚後のデートで 相手の奥さんが食器洗い機で感電死したことを聞いて吹き出してしまう。 自分も娘を亡くしたというのに。

この時代、 カラーテレビ・クーラー・自家用車の三種の神器は日本でも達成されていたが、 食洗機までは まだなかっただろう。

ジム・ジャームッシュの初期の作品で知った 'TVディナー' がここでも活躍し、 他にもボウリング、 ドライブシアター、 ストリーキングなどが懐かしアイテムとして登場する。 上のポスターは、 神に投げられたアクシデントというボウリングのボールで破壊された家族か。

しかし破壊されてもなお、 たくましく生きていく人々の反撃。 離婚した夫はしゃあしゃあと再婚、 母は語らぬ息子にさよならを告げ、 少年はふたたび世界を受け入れるかのようにボウリングのボールを投げ返す。 日本公開は完全未定。 興味ある方は署名運動でもして公開にこぎつけられたし^ ^




Accidents Happen (2009オーストラリア・イギリス) 日本公開未定 
監督 アンドリュー・ランカスター 
ジーナ・デイビス ハリソン・ギルバートソン ハリー・クック 
セバスチャン・グレゴリー モーガン・グリフィン ビバ・ビアンカ 
レベッカ・マッセイ サラ・ウッズ エリック・トムソン ジョエル・トベック 

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