「40歳の童貞男」 が受けて、 調子に乗ってこのパターンの邦題をつけてきたから無視しそうになったが、 ドリームワークス製作で、 アメリカではけっこうヒットした作品。 現状の日本では受けそうにない内容なので未公開はしかたないとしても、 この邦題はないだろう。 40代で結婚する男なんて今どき珍しくもないんじゃないの? 原題は、 男が男に言う愛の言葉。 と言ってもストレートな男の友情の物語だ。 たぶん・・
ピーターはLAに住む不動産仲介業の40男で、 この度めでたく結婚する。 モテないわけではなく、 むしろ女性受けのいいキャラ。 だが逆に男付き合いが悪かった。 友だちがいないのだ。 もちろん仕事上の付き合いはそれなりにあるが、 親友と呼べる奴、 ウェディングの付添人になってくれる者がいない。 それで今さらながら、 友だち作りに精を出す。 普段は参加しないポーカーに入ってみたり、 フェンシングの仲間を飲みに誘ってみたりするが、 すべてが空回り。 引っ越してきた男を紹介されるがゲイだったり、 ネットの友だち募集で会ったら89歳のジイさんだったり。
そんなときセレブの家の販売を任される。 セレブと言ってもテレビ版 「超人ハルク」 の変身後をやった男なのだが、 プチ豪邸ゆえに買い手はなかなか見つからない。 オープンハウスの日に、 少し変わった男と出会う。 家を買う気はない、 タダメシを食いに来てるだけだ、 と正直に話す男。 交換した名刺には投資業と書いてあるが、 うさん臭い感じ。
しかし意外にもピーターは、 この男シドニーとウマが合い、 熟年男の友情の物語が始まる。 男女のラブストーリーはたくさんあるし、 男と男の絆を描いた映画もたくさんあるだろうが、 日常の、 男と男の関係について考察されたものは少ないように思う。 ピーターは現代の社会生活の中で、 いつのまにか自分を、 女受けのいいキャラに はめ込んだのだ。 女性が嫌がる会話や態度はしない。 ハメを外さない、 バカはやらない・・ そういう男は、 男から見れば面白くも何ともない。 だから深く付き合うこともない。
片やシドニーは男にも受けそうな面白い奴だが、 彼にも彼なりに新しい友だちを求める理由があった。 気ままに生きてきたつもりが、 気づけば回りは結婚や子育てで忙しくなり、 電話一本で彼の気まぐれに付き合う者は誰もいなくなっていたのだ。 シドニーは犬の散歩をしても糞の始末はしないのだが、 それは この男を表現する方法論なのだろうか。 道行く人が怒鳴っても怒鳴っても、 自然なことだからという態度なのだ。 感銘を受けるほどのこともないが、 ハリウッドのシナリオライターらしいとも言える。 シドニーは昼間も仕事をしている様子はなく、 ドラムセットやギターアンプの並ぶガレージでノンビリと優雅な生活を送り、 ピーターの会社をフラッと訪ねては "ABマイナスの血は高く売れるから また献血してきたよ" などと話す。
ピーター役のポール・ラッドは、 ライアン・オニールに似ていると思う。 ライアンはもっとクールで渋かったが、 顔立ち自体は似ているなと。 ライアン・オニールとヒュー・グラントを足して3で割った感じだ^ ^
とくに突出した何かがあるわけじゃない普通のアメリカ映画。 だがこういう映画ほど、 少しだけLAに住んだ気分になれて悪くない。 結婚式での花婿の付添人は "ベストマン" と呼ばれて、 かなり名誉な役割らしい。 これを頼まれると '光栄だ' という顔をしてハグをしなくてはいけないのだが、 本当?
40男のバージンロード I LOVE YOU, MAN (2009) 日本未公開
監督 ジョン・ハンバーグ
ポール・ラッド ジェイソン・シーゲル ラシダ・ジョーンズ
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