6.27.2009

怒りのインターポール 「ザ・バンク 堕ちた巨像」



"シネマ遅れ書き" になってしまうこの数日だが、 バタバタしていてエントリーできなかったものをフォローすることにする。 本作はトム・ティクヴァ監督ということでそれなりに期待したし、 面白くなくはなかったが、 やっぱり巨悪を描くのは難しいなというのが正直な感想。 映画化された時点で、 もうすでに真の悪には触れていないだろうという気がするからだ。

邦題はザ・バンクとなっているが、 原題は THE INTERNATIONALで、 銀行は巨悪のハブに過ぎない。 ヨーロッパ系の銀行IBBCが武器売買をしている。 追うのはインターポールだが、 インターポールの実態ってこんなものなのか?! 銭形警部も苦労したわけだ。 。 追いつめても結局は法的に裁くことはできず、 法を破って個人的に抹殺するしか正義の手段はないというのがまた皮肉なところ。 抹殺したとしても、 代わりはいくらでも現れることはわかっている。 それでも最後にの引いた怒りの引き金・・ これがまた虚しく彷徨う。

ベルリン、 ミラノ、 NYとまさにインターナショナルに舞台を移動してスパイ映画さながら。 一瞬のイタリアの街並みだがあらためてキレイだな、 と。 グッゲンハイム美術館での銃撃戦は一般市民をも巻き込んでリアルだが、 空中に浮かんだスクリーンやトップライトを粉々にし、 あげくの果ては美術館を丸ごとぶっ壊すんだからお金もかかってそう。 クライヴ・オーウェンはほんとに銭形のように無謀に熱い捜査をするが、 ナオミ・ワッツはいまいち薄い存在感。 コンサルタントと呼ばれる殺し屋が意外に活躍し、 捉えた銀行幹部は元共産主義の活動家だったというのが取って付けたような気がするが、 DVDになったらいちおう見ておいていい作品ではある。 世界はもうどうすることもできない、 という脱力感にさいなまれるかもしれないが。

ザ・バンク 堕ちた巨像 THE INTERNATIONAL (2009アメリカ・ドイツ・イギリス)
監督・音楽 トム・ティクヴァ  4/4〜 公式サイト&予告編 
クライヴ・オーウェン ナオミ・ワッツ アーミン・ミューラー=スタール 
ブライアン・F・オバーン ルカ・バルバレスキー 

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