3.18.2009

記憶の向こうの悪夢 「戦場でワルツを」




ガリルを 使い慣れたMAGに持ち替えた瞬間 そいつは踊り出した・・


イスラエルのアラフォーにとって、 青春とはすなわち戦争のことなのかもしれない。 その男にも若い頃 戦場へ駆り出された体験があった。 それから20年、 中年にさしかかった男は悪夢にうなされるようになる。 恐らくはあの体験によるものだろうと考えたが、 どうしても思い出せない。 俺たちは虐殺を行ったのか・・ 記憶は時として、 自分に都合よく補完されるという。 悪夢の真実を求めて、 男は旧友に会いに行く。

不思議なタッチのアニメーションだ。 太い線、濃い影・・ 動き出すとこれまたヌルッとした感じで、 一部は3Dなのか詳しくはわからないが、 去年めぼしい各賞のノミネートには上がっていた作品。

Sex Pistols 風の歌が流れる時代、 イスラエルはレバノンに侵攻した。 かつてナチスが我々に行ったのと同様のことを、 我々はパレスチナに対して行ったのか。 26匹の犬、海に現れる巨大な女、海岸上陸と照明弾・・ それらも絵に描いてしまえば、 ただの悪夢にすぎないとばかりに、 最後には実写の記録映像まで飛び出す。 ともすればアニメとしては自虐的なスタンスではないだろうか。 しかし、 そうまでして訴えたかったものがあるのだろう。 ここは賛否両論を呼びそうな部分だが、 自分は '賛' である。

目の前にくり広げられる おぞましい光景から自らの精神を守るため、 これは映画だ、 そう思おうとしたという。 '実話' と言うことで映画の説得力が増すのであれば、 その逆も真なりだが、 悲しいエピソードだ。 この作品自身は実話とは銘打っていないが、 監督の実体験に基づく、 心の実話なのだろう。 原題は "バシールとワルツを"。 バシール・ジェマイエルは、 レバノンに親イスラエル政権を樹立しようとして祭り上げられた若きカリスマ大統領だが、 すぐに暗殺され計画は失敗、 以後、 事態は混迷へ。 日本公開は秋になるそうだ。 (追記) 11/28から公開




戦場でワルツを Waltz With Bashir (2008イスラエル他8ヶ国) アニメ 
脚本・監督・声 アリ・フォルマン  11/28〜 

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