
設定は20世紀初頭ということで セピアカラーでサイレント映画風の作りになっているが、 1998年の作品。 想像したほど奇々怪々な世界ではなく、 むしろ北国ロシアの叙情を感じる作品だった。 叙情と言うよりは時代の、 あるいは人生の機微。 川を漂う流氷、 サンクトペテルブルクの寂しい街並み・・
そうした映像にも増して印象的なのは、 音楽や登場する歌曲。 サイレントな雰囲気に反して、 これがぐっと来る。 繰り返し聴かされる汽笛の音さえも・・
部分部分を取り出せば凄い映画じゃないかと思うのに、 全体を通して観れば、 明日になればすっかり忘れてしまいそうなのはどういうわけなんだろう。 監督の力量の問題、 あるいは映画の総合性ということかもしれないが、 そうやって切り捨ててしまう前に、 そこには何か大きな意味が隠されている気もする。 たとえば死ぬ前に自分の人生を振り返って、 まあ大した人生じゃないなと思う。 にもかかわらず、 子供の頃の思い出のひとつ、 あるいはこれだけは忘れられないという出来事。 それだけで十分じゃないか、 というような。 。


フリークスも人間も (1998ロシア) 日本公開 2001
ПРО УРОЛОВ И ЛЮДЕЙ/OF FREAKS AND MEN
監督 アレクセイ・バラバーノフ
セルゲイ・マコヴェツキー ディナーラ・ドルカーロワ リカ・ネヴォリナ
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