9.08.2008

悪い者が勝つ世界 「ファーストフード・ネイション」


ファーストフード・ネイション FAST FOOD NATION
(2006イギリス・アメリカ) 日本公開2008 公式サイト&トレーラー 
監督 リチャード・リンクレイター 
原作 エリック・シュローサー 「ファストフードが世界を食いつくす」 
製作 ジェレミー・トーマス マルコム・マクラーレン 
グレッグ・キニア パトリシア・アークエット カタリーナ・サンディノ・モレノ 
アシュレイ・ジョンソン イーサン・ホーク アヴリル・ラヴィーン 
ブルース・ウィリス クリス・クリストファーソン 


 "なぜ悪い者が勝つの?"


"正義は勝つ" はずだったアメリカはいま、 こう問いかけている。 その昔 「ロボコップ」 で 警察が民営化されるという設定が非常に面白いと思ったが、 この映画でもファーストフードに代表される企業と資本主義の現在が告発されている。 しかもこれはSFではなく、 先進国が到達した現地点なのだ。 世界の閉塞感は得てして曖昧に語られるが、 ここでは明確にその原因が暴かれているように思う。

アメリカからはジェレミー・トーマス、 そしてイギリスからはセックスピストルズのプロデュースで知られるマルコム・マクラーレンが製作参加し、 監督は 「スクール・オブ・ロック」 のリチャード・リンクレイター。 唐突にブルース・ウィリス、 アヴリル・ラヴィーン、 クリス・クリストファーソンが出てきて、 役者を活かし切れていない旨の感想もどこかで見かけたが、 そんなことはどうでもいい。 映画会社も 'ファーストフード・ネイション' の一員であることを考えると貴重な作品、 参加することに意義があるのだ。 これは鑑賞するより '見る' べき映画なのだ。 "これを見たら、 もうハンバーガーが食べられない" とかいう特定の業界のピンポイント攻撃ではなく、 ファーストフードのような '国家' あるいは資本主義世界が批判の対象であることに気づくといいだろう。




メキシコからの密入国者、 密入国の斡旋業者、 指や足を切断する労働者、 屠殺工場長のセクハラとメキシコ人女性の涙でハンバーガーはできている。 しかし世間で語られるのは、 お気楽なマーケティングばかり。 かつて学生運動の勇士であった叔父や同世代の環境運動家に触発され、 ハンバーガーショップでのバイトを辞めて行動を起こす18歳。 事実を知ってからも家族のためには現状維持、 あるいはさらなる出世道に邁進するしかない父・・


 "メキシコへ行ったことがあるか? 美しい国だ。 だが貧しい・・”


そして今日もメキシコからは、 10歳の少年までが希望を胸に国境を越えてやって来る。



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