原題の 'オーガスト・ラッシュ' は少年の芸名である。 名付け親の男は、 街角で演奏し日銭を稼ぐストリートチルドレンたちの元締めみたい存在で、 少年の才能に気づいた男は 「これで一儲け」 と考え、 それには飛びっきりクールな名前が必要だということで絞り出したのだ。
11歳の少年は母の顔も父の顔も知らない。 抱かれたことすらない。 母や父も、 少年の存在を知らない。 それは一夜の恋で授かった子供、 娘は父親の反対により死産だと聞かされていたのだった。 それでも少年には天才的な音楽の才能が備わっていて、 音楽で両親とつながっていると信じていたのだ。 音楽は少年を通してこの世界に舞い降りる。 少年曰く、 この世界に溢れる音を・・
" ただ聴くんだ "
ということで公開より一足先に見ることができた本作品、 音楽の持つ神秘性に充ち満ちております。 まずはバンドマンとチェリストの出会いのシーン、 ロマンチックを通り越してシュールレアリスティックですらある。 また突然、 少年がギターを打楽器のように弾き出すシーン、 あるいは楽譜なんてものを初めて見たにもかかわらず、 いきなり作曲してしまうシーン。 それを見た神父が彼を連れて行ったのは何とジュリアード音楽院。 しかも入学してしまう^ ^さらには指揮者としてコンサートのトリを取ってしまう!
神がかり的な天才ぶりもここまで徹底されると気持ちがいい。 音楽をやったことのある人なら、 俺もこうだったらいいのにと魅了されると同時にあきれてしまうことだろう。 それでも許せてしまうのは両親に会いたいという少年の切なる想いと、 音楽とはやはりどこかそういう神秘的なものなんだとあらためて実感できるからなのだろう。
このように見どころたっぷりな本作品だが、 少し考えてしまうのは、 仮に両親と離ればなれになることなく、 両親に愛され、 ときには甘やかされ、 音楽一家の子として英才教育を受けて育ったら少年はどうなったことだろう。 やはりジュリアードに行ってそれなりの音楽家になったかもしれない。 あるいはロックスターか。 しかし注目や評価はされても天才は生まれなかったのではないか。 あるいは両親と暮らすようになった少年は、 やがて普通の音楽家になってしまうのだろうか。 天才の切なさを描いた物語でもある。
奇跡のシンフォニー August Rush (2007) 6/21 公開
監督 カーステン・シェリダン 公式サイトと予告編
フレディ・ハイモア ケリー・ラッセル ジョナサン・リス=マイヤーズ
テレンス・ハワード ロビン・ウィリアムズ
[DVD] おすすめ平均 フレディ・ハイモアのピュアさは絶品! 鳥肌もんの演奏シーンだけでも買いです!! なぜ! 音楽でつながる絆に感動 現実味からは離れますが本当に素敵な映画です Amazonで詳しく見る powered by G-Tools |
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