4.11.2013

広場! 「アレクサンドリア」



日本映画 「テルマエ・ロマエ」 では日本人がローマ人をやるのかと言われていたが、 レイチェル・ワイズだってイギリス人。 他も、 濃い顔の人を選んでいるとは言え正確には違う。 まあ、 そんなことは今どきどうでもいいのだが、 よくないのは例によって邦題。 キリスト教の勢力拡大とともに失われた“広場"。 そこでは哲学が説かれ、 自由な討論が行われた。 普通に考えて、 そうした意味を込めて製作者は AGORA (広場) としたはず。 それをあっさり、 配給元は何を考えたか、 アレクサンドリア? 確かにアレクサンドリアだが、 仮に "新宿" という映画があって "TOKIO" に変えられたらどうだ? iPhoneをねだる娘に父さんが買ってきたのがいわゆる 'スマホ' だったら?

スペイン映画だが、 紛れもないカトリックの国でこうした映画が作られるのは興味深い。 宗教 対 科学という単純な構図ではないところにも深みはあるが、 事実とは言えあまりにも悲劇的な結末が戯画的すぎるようにも感じた。 しかしふと現在に持ち帰ってみると、 今取りざたされる日本のいくつかの政策やその周辺で展開される妄信はむしろ宗教ではないかと感じる。

いずれにしても、 そうしたさまざまなことを考えさせてくれる良作なのに、 スペクタクル・アクション巨編のような邦題は、 腹立たしいを通り越して日本の映画配給会社の無自覚な古くささを見せつける。 ねえギャガさん、 アレクサンドリアにして当たったの?


アレクサンドリア AGORA (2009スペイン) 日本公開2011 公式サイト
監督 アレハンドロ・アメナーバル  象のロケット
レイチェル・ワイズ マックス・ミンゲラ オスカー・アイザック 
アシュラフ・バルフム サミ・サミール マイケル・ロンズデール 

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