
実話なのかなと思わせるようなタッチだが、 一昔前に流行ったマジックリアリズムとalllcinemaでは解説されている。 原作は戯曲とのこと。 ミシシッピ河口のデルタ地帯をモデルに、 嵐にさらされ、 しかも堤防ができてからは増水した水も引かない見捨てられた土地。 しかしそこに住む者たちにとっては故郷であり、 自分の土地であり、 かたくなにここを出て行くことを拒み、 住み続けようとする。
ハッシュパピーと呼ばれる6歳の娘は、 母が出て行ってから父と二人暮らし。 しかしその父にも病気が発覚、 残された時間、 娘に一人で生きられるたくましさを教えようとする。 娘はくしゃくしゃのアフロヘアですでに十分たくましいのだが、 それでもときどき母を思い出したりする。 やがて自分を "大きな宇宙の小さなピースだが、 それがないと世界は崩壊してしまう" 存在と認識し、 よりたくましく生きていこうとする。
邦題は例によって日本向けに? 可愛く加工されているが、 原題はもっと荒くれた雰囲気で、 嵐をはじめ自然の猛威をビーストと喩え、 実際に巨大な黒ブタで表現されている。 多少ジブリな感じもするが、 そのメッセージは目新しくはないものの正統性は持っている。 ポエティックな映像でサンダンス・グランプリやカンヌ・カメラドールに輝くが、 どうだろう自分的には・・ とくに文句のつけようはないが苦手だなあ、 こういう出来すぎた作品は^ ^
ワニを仕留めて料理するママが印象的だったが、 それは娘も土地も捨てていった者であり、 映像は父の話を元にした娘の想像図で、 またラスト近くの再会も幻想かもしれない。 娘には父の生き方も母の生き方も選択肢の一つして、 どちらを選ぶか、 あるいはどちらも選ばないかは娘に預けられているように受け取れるが、 けっきょくは当事者の決断であるなら、 この映画の存在意義は曖昧なままになるのではないだろうか。 あなたのハートには何が残るでしょう。 。 20日から。




ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~ (2012) 日本公開2013.4/20 公式サイト・予告
Beasts of the Southern Wild 象のロケット
監督 ベン・ザイトリン
原作戯曲・脚本 ルーシー・アリバー
クヮヴェンジャネ・ウォレス ドワイト・ヘンリー
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