2.26.2013

0から0へ “AMOUR”



好きな数字は? と聞かれたら0と答えることにしている。 (もっともそんな質問もあまりされないが^ ^) 本当に好きかどうかはさておき、 それが質問をかわす唯一の例外的な数字だからだろう。 好きな色はと聞かれても気分によるから答えに困るし、 好きな季節と聞かれた日には、 夏には冬と、 冬には夏と答える。 そんなアマのじゃくな自分だからハネケは好きなほうだが、 今回は予想通りの展開すぎてやや拍子抜けした。 (予想通りに賞は取っているが) *カンヌパルムドール/アカデミー外国語映画賞 他

人間は生まれて、 立つことも話すこともできない赤ん坊から、 成長し、 大人になり、 老いてまた赤ん坊に帰っていく・・ というような解釈を聞いたことがあるが、 老いた妻のそんな状況に立ち会う老いた夫は、 人生で獲得した知識や経験が0に帰っていくことに耐えられなくなる瞬間を迎える。 その様子を当事者の立場から、 そんなことを理解しようのない若い人の視点も交えて淡々と描く。

愛、 アムール? 同じ意味の言葉を安易にくり返すな。 邦題はすでに末期的だ。 それよりこの映画は誰が見るのだろう。 若い人でこの映画に惹かれるならよっぽどの変わり者だろうし、 当事者はこんなわかりきったことにどれだけ興味が持てるだろう。 その中間だって劇中の娘のようだろうし。 つまりターゲット不在の王道的な死の物語に "愛" と名付けて賞を取る。 これこそがハネケ最大の企みだったのではないだろうか。 アカデミーまで取ったし、 客は入るんだろうな。 。 乞うご期待。


愛、 アムール AMOUR (2012 フランス・ドイツ・オーストリア) 日本公開2013.3/9
脚本・監督 ミヒャエル・ハネケ 公式サイト・予告 象のロケット
ジャン=ルイ・トランティニャン エマニュエル・リヴァ 
イザベル・ユペール アレクサンドル・タロー 

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