
前作ではカンヌで審査員賞も取っているらしいが、 ノーチェックの監督だった。 本作も去年公開されているというのにDVDになって知った。 巡り合わせの悪いラインがあるようだ。 それはさておき、 なかなかの力作で "何かがおかしい" 感じはするものの面白かった。
何かがおかしい、 とは劇中の主人公の口癖だが、 自分が感じたのは、 このグラムロックのなれの果てのようなキャラ、 しかもそれをショーン・ペン? さらに今どきデビッド・バーンの登場と主題歌。 舞台はアイルランドからアメリカへ移りロードムービーとなるのだが、 アメリカ資本は入っていない。 言わばヴィム・ヴェンダースのような外側からのロック・ヒストリーがあるせいだろう。 日本における洋楽の摂取のしかたがアメリカやイギリス本国での捉えられ方と多少、 あるいは大きく違うように。
それはさておき、 まったくの予備知識なしに見たので、 読めない展開に引き込まれ、 まさかナチの残党狩りになろうとは予想もせず、 しかもそれがロードムービーで、 老いたポップスターの人間的成長と重ねあわせられているとは少なからずショックを受けた。 そこではタバコがまだ大人っぽくカッコいいものであり、 CISCOの株を持っているうちは死ねないのだ^ ^
アメリカの田舎町のダイナーも、 どこか旅行者の視点があって旅行してきた気分にさせられるが、 しいて言えば街々でのエピソードをさっと捨ててしまうもったいなさがある。 タイトルも予定調和的すぎて、 総じてオフトレンドな雰囲気とともに見落とされがちな映画となっている。 マイペースでコマーシャリズムに欠けるのだろう。
前作のカンヌでの審査委員長がショーン・ペンで、 監督とはそのときからのつきあいとのこと。 審査員をしながら営業もするペンではあるが、 ここでの抑えめな演技は美輪明宏っぽくあるものの印象的だった^ ^




きっと ここが帰る場所 (2011イタリア・フランス・アイルランド)
THIS MUST BE THE PLACE 日本公開2012.6 公式サイト 象のロケット
脚本・監督 パオロ・ソレンティーノ
ショーン・ペン フランシス・マクドーマンド ジャド・ハーシュ
イヴ・ヒューソン ケリー・コンドン ジョイス・ヴァン・パタン
ハリー・ディーン・スタントン デビッド・バーン
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