7.05.2012

軟禁条約 「The Lady」



ある意味、 らしくない企画。 でありながらもリュック・ベッソンの新たなモチベーションとプレゼンスを示す本作、 まもなく日本公開だが例によって一足先に。 自宅軟禁というよくわからない状況のニュースは (かなり前から時おり) スーチーさんの写真とともに目にしていたが、 事情には詳しくないし、 そのことについて何か言える政治的知識もないので、 あくまで映画についてだけ さらさらっと。

映画は概ねスーチーさんを絶賛し、 その行動によってイギリスの夫や息子たちとこれまで通りの生活が送れなくなった悲劇を描いている。 事実に即しているので書きにくかったとは言え、 微妙に散漫なシナリオ。 いつものエンタテイメント色を抑えた演出も ある程度は引き込まれもするが、 大河ドラマを見終わったような印象となる。 追悼作品かと誤解しかかったほど、 すでに歴史の1ページとして処理されている感じがややひっかかる。

少し調べてみて、 欧米列強による植民地化とか独立とか、 クーデターとか軍政とか、 流れは理解できなくはないが、 意外だったのはスーチーさんが自ら立ち上がったというより、 お膳立てされて後に引けなくなったらしいこと。 それまでの四半世紀もの間、 人々は軍政に耐え、 またラストでの僧侶の行進が行われるまで10年前後も自宅軟禁が続いている。 どこかの国のように従順で、 温厚な人々なんだなと。 。

また一部では逆ハニー・トラップのスパイと囁かれるイギリス人の夫の尽力によって、 活動家としての箔付けのためにノーベル賞が与えられるなど、 へえと思わされるエピソードも。 さまざまな見方はあるだろうが、 それでもこの映画をきっかけに考えたり、 注目できたりするのだから意義のない映画とは言えないだろう。 自分に係わりがあるかどうかは別として。



The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 (2011フランス)
日本公開2012.7/21 公式サイト・予告 象のロケット 
監督 リュック・ベッソン 
ミシェル・ヨー デビッド・シューリス 

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