9.22.2010

コンサート! 「オーケストラ!」



メラニー・ロランはきれいだ。 と、 バカっぽく書き出してしまったが、 彼女ってやはりユダヤ系なんだな。 日本にいて、 そういうことはあまり意識しないが 「イングロリアス・バスターズ」 でもユダヤの娘役だったし、 今回もそうなので意識せざるをえない。

フランス映画だとばかり思っていたので、 冒頭の、 サクラを調達するのに何万ルーブルとかいうところで、 ようやくロシアなのだとわかる。 ボリショイ交響楽団と社会主義、 ユダヤ迫害の歴史を傍らに置いているわりに重くは展開せず、 30年の時を経てカタルシスが得られるみたいな物語。 話の展開にフランス流のご都合主義が見られるものの、 まあ楽しく見られる。 フランスでは大ヒット作となったらしい。

しかし正直言って、 チャイコフスキーにこだわっているわりに そのあたりの説明も弱く、 音楽的な盛り上がりもやや薄味。 「のだめカンタービレ」 のほうがグッと来るかもしれない。 商売に走るロマとかギャグ的な部分にはあまり乗っていけず、 構成も大ざっぱな気がした。

だからある意味 メラニーしか見どころがないとも言え、 またビックリマーク付きの 'オーケストラ!' という邦題にも ひっかかりを覚える。 原題は 'コンサート' で、 英題などは Le が The に替わっているだけなので納得だが、 なぜ邦題だけはいつも不思議な変更を加えるのか、 大いに疑問に思う。 ビックリマークはマンネリだが まあいいとしよう。 問題はコンサートをオーケストラに変えてしまうこと。 コンサートもオーケストラも音楽的なものだし大差さないかもしれないが、 それならなおさら変える必要はない。 'ライブ' と 'バンド' が違うように、 コンサートというイベントをオーケストラという組織に変えてしまうことは、 コンサートという時間的な事柄をオーケストラという空間的な事柄に変換してしまうということ。 映画の内容からは、 そのような変換は不要あるいは改悪と感じる。

オーケストラにまつわる群像劇に擬態しようとしたのかもしれないが、 そうする商業的なメリットはあるのか? オーケストラの方が客は入るのか? 気分的としか言いようのないタイトリングは配給契約に抵触しないのか。 どんなに いい加減なローカライズをされても、 それが興行的にベストと判断しましたと言われると先方は何も言えないのだろうか。 どうでもいいことかもしれないが、 邦題は一度 見直されなくてはならない時期に来ている。


オーケストラ! Le Concert (2009フランス・イタリア・ルーマニア・ベルギー・ロシア)
監督 ラデュ・ミヘイレアニュ  日本公開2010 公式サイト 象のロケット 
アレクセイ・グシュコフ メラニー・ロラン フランソワ・ベルレアン 
ミュウ=ミュウ ドミトリー・ナザロフ アンナ・カメンコヴァ 

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