9.01.2009
二つの父親像 「重力ピエロ」
サーカスで空中ブランコをするピエロ。 見ている子供は落ちちゃうんじゃないかとハラハラしているが、 母さんは言う。 "大丈夫 あんなに楽しそうな顔をしていれば地球の重力だって消えちゃうわ" すなわち "その場しのぎの安心感が人を救うこともある"。 この考え方が好きかどうかは微妙だが、 これがタイトルの由来。 だが、 うちの娘 (小四) に話すとバカにされた。 "ピエロはマヌケなフリをしてるけど、 きちんと練習してるから飛べるし、 もし落ちてもネットが張ってある" ・・ その通り^ ^
よくできた作品だ。 しっかりした原作、 きちんとした映画化。 文句のつけようがなくて、 なぜか疎外感を感じる^ ^ 根が劣等生だからか。 。 しいて言えば先のセリフ、 あるいはキレイなモデルさんと結婚した仙台市職員というニュアンスが効いてこないのは、 鈴木京香というキャスティングのせいだろう。 彼女が悪いというわけではないが、 もう少し浮世離れしたタイプのほうがしっくりきたはず。
すでにいるじゃないか、 整形後の夏子さんのようなタイプだ。 彼女を少しアレンジして二役にキャスティングし直して頭の中で想像してみれば、 父との出会いのシーンも、 レイプも自殺疑惑も、 市役所の窓口に結婚を詰め寄ったというエピソードも全部効いてくる。 繰り返すようだが、 鈴木京香が悪いのではなくて、 キャスティングの落ち度なのだ。 あるいは仕事が来たのに、 これは私向きではないと断るほど彼女が大物ではないということか。 子役の二人はよくみつけてきたなあ。 加瀬と岡田のミニチュアのようだった。
父さんがカッコよかった。 "神様に相談したが 自分で考えろと言われた" "死ぬことなんて恐くない 父さんには恐いものなんてない" ブレがなくて覚悟があって、 この父親像が作品中でもっとも素敵かもしれない。 しかし同時に、 もう一人の父も魅力的な、 自分で考える人間なのだ。 映画ではやや悪者と決めつけている気がするが、 この二人の父は本当はどこか似ていて、 遺伝子で言うならキメラのような存在なのだ。 そのことをもう少し意識した映画であれば、 劣等生の自分にも愛せたかもしれない。
重力ピエロ (2009日本) 公式サイト
監督 森淳一 原作 伊坂幸太郎
加瀬亮 岡田将生 小日向文世 吉高由里子 岡田義徳 渡部篤郎 鈴木京香
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