一口に映画好きと言ってもいろいろあるわけで、 自分的にはもっとも興味がわかないタイプの映画。 にもかかわらず、 いろんなところで煽り立てられると気にもなってくる。 もしかして、 すごくいい映画かもしれないと。 。 まあしかし、 やはり最初の勘のほうが正しかったようだ。 重いというより重く扱っているフリ、 あるいは一方的にそういうことになっている。 そんな部分がやはり局製作だなと。
殺人事件の容疑者が捕まる。 18才の少年なのだが、 事件そのものより加害者の家族を世間の風当たりから守る男が主人公。 少年の父、 母、 そして15才の妹。 いち早く玄関の前に群れるのはテレビ報道陣。 気づけば目の前のテレビですでに実名報道・・ それを見越した警察が用意しているのは離婚届。 同時に再び婚姻届に署名捺印させられ、 家族は瞬時に母の旧姓に変わる。 しばらくの間の義務教育免除手続き。 家族は別々に、 秘密裏の場所へ移送され取り調べを受けることに。
スピードでテレビに追いつけない新聞は、 もっと掘り下げた内容をということで、 保護に当たっている刑事の過去を暴く。 さらにはネットの掲示板が秘密の移送先をも暴く。 つまりテレビ局が一方ではこうした報道で収益を上げ、 他方でそれを告発するかのような映画を製作してまた収益を上げる。 一粒で二度美味しい戦略なのだが、 最終的な悪者をネットにし、 さらには掲示板の話題はすぐに別の事件に移り、 こうして世間の関心はあっさり冷めるんだよ、 みたいな感じで告発の対象をあいまいに分散させている。 巧妙なシナリオだ^ ^ そのくせ 「一生追いかけられる」 だの 「他人の痛みを感じることが生きること」 と重々しく語られるが、 それらのセリフは見事に噛み合わない。
「世間なんてすぐ忘れてくれる、 ほとぼりが冷めるまで大人しくしてればいい」 のほうが正解だろうし 「他人の痛み? どうせすぐ回復するんだから、 敏感な奴は損するよ」 でいいじゃないか。 そもそも誰に何を言いたいのだろう。 製作者の欺瞞だけが見えてしまうのは勘ぐりすぎか。
モントリオール最高脚本賞だか何だか知らないが、 最高戦略賞の間違いだろう。 それでも俳優たちの技量によって、 一瞬どきっとさせられる瞬間はある。 あ〜あ、 な映画だよな、 まったく。
誰も守ってくれない (2009日本)
製作 亀山千広 監督 君塚良一 公式サイト
佐藤浩市 志田未来 松田龍平 木村佳乃 佐々木蔵之介 石田ゆり子 柳葉敏郎
スタンダードエディション [DVD] powered by G-Tools |
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