5.24.2009

ちぇっ.. 「チェ part 1/part 2」



下にはダブルパックのDVDを貼り付けてあるが発売は6月で、 レンタルもまだ前編だけしか出てない。 1月の公開時も そんなズラされ方だったようだが、 じれったいパターンだな。 しょうがないので、 とりあえず part one だけでも見た。 それにしても ふた昔前のフォークソングみたいな邦題だ。 時代の空気的には間違ってもいないが "part1 アルゼンチン人" "part2 ゲリラ" でいいじゃないの。 ベニチオが28才を演じるというのは、 いくつサバを読んだのだろ。 。

コメントしづらいタイプの作品だ。 あの時代を生きてきたわけではないし、 監督やベニチオにしたってそうだから、 自分たちの時代を総括しようという 連合赤軍もの などとは全く違うわけだ。 革命のイコンを剥がし、 チェ・ゲバラという人物に迫ろうとしたドラマということだろう。 ゲバラは何十年か後に、 自分が娯楽映画の主人公になるなどと想像しただろうか。 よくも悪くも、 なってしまったのだ。

2時間越えなのに、 それほど長くは感じない。 前後編続けても見れそうだ。 ということは、 それなりに面白いのだろう。 でもゲバラはもっと男前だし、 ベニチオがいくらゲバラになり切ったところで 'チェ・デル・トロ' という愛嬌あふれる新しい人物像を造形しただけという気がする。 "苦汁を飲んだ" などとナレーションが入るが、 その実、 革命って案外簡単なんだなという気さえしてくる。 ようするに製作側のマスターベーションを否定する、 という触れ込みのマスターベーションにすぎないとも言える。 字幕も頭に入ってこなかったので途中で吹替に切り替えた。 人気のない街と、 時折の銃声・・ そんな殺風景な市街戦のイメージだけが印象に残ったが、 それもこの映画が初めて描いたものではないし取り立てるほどのことでもないかもしれない。 続きは part two を見てから、 このエントリーに追記することにする。



追記 6/13 後編を見て印象は微妙に変わった。 キューバでの成功を後に、 ゲバラは名前を変え、 変装してボリビアへ渡る。 カストロとは対照的に、 国の建設にはまるで興味がないように。 生粋の革命家として、 必要とされればどこへでも行く。 しかし本当に必要とされていたのか。 キューバでの成功体験は、 ボリビアではまったく役に立たず。 追いつめられ、 転がる石はそれでも理想を失わず。

キューバとボリビア、 成功と失敗を並列に置く構成は、 ある意味 秀逸かもしれない。 しかしなぜキューバは成功し、 ボリビアの革命は失敗に終わったのか。 そのことを考察してみたくなったが、 そのヒントでも描かれていたら後編のほうが面白くなっていたかもしれない。 しかしソダーバーグの頭には '倒れるとき' をいかにポエティックに表現するか、 それしかなかったようで、 そのこと自体、 理想を持って乗り込んできた革命家をなぞるようで、 やはり失敗を描いた後編もまた失敗作なのだ。 それでも前編だけを見たときよりも評価は高くなった。 ほんの僅かだが。 。

チェ 28歳の革命 / 39歳 別れの手紙
CHE part one: The Argentine / part two: Guerrilla
(2008アメリカ・フランス・スペイン) 日本公開2009  公式サイト&予告編 
監督 スティーブン・ソダーバーグ 
ベニチオ・デル・トロ デミアン・ビチル 

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