自分の後ろ姿･･ ｢ブロークン｣

｢フローズン･タイム｣ のショーン･エリスの新作ということで けっこう期待していたんだが､ まあ雰囲気だけだったという印象｡ まるっきり つまらないというわけでもないが､ 中途半端だったかな｡

予想外にホラー寄りだった｡ ストリングス系の音楽で盛り上げる感じのクラシックな演出だが､ 一部は なかなか恐い｡ インタビューでは "もっと恐くしたかった" と語っているので意外にホラーフリークなのかもしれないが､ "したかった" というニュアンスは製作サイドから 'スタイリッシュなサスペンス' に留めておくようにとの注文があったのかもしれない｡ どうせなら徹底的にやってほしかった｡

冒頭でポーの一説を引用して､ 鏡の向こうから もう一人の自分がやってくる､ みたいな物語｡ 観念的な展開かと思いきや､ 恋人が別人に思えたり､ レントゲンで心臓が右側に写ったりして､ どんどんインベーダーや人間モドキ的になってくる｡ 不思議な雰囲気や逆説的なプロットは悪くないんだが､ とくに新鮮味は感じない｡

とは言うものの､ 面白いなと思ったワンシーンもある｡ バスタブに身体を沈めるジーナ､ 前からのカットと背中や後頭部からのカットが交互に入れ替わる｡ そのときの後ろからの彼女が､ 特殊メイクなどをしてるわけでもないのに､ 何とも不気味な感じで別人に見える｡ まるで裸の自分の後ろ姿を､ 自分だと認識できないかのように｡ 充血した目や顔つきで別人を表現しているシーンよりも､ この後ろ姿が恐い｡ 他にも凝っている部分は じっくり見ればありそうだから､ 気になる人はチェックしてくだされ｡


ブロークン THE BROKEN (2008イギリス･フランス)　
監督 ショーン･エリス　　オフィシャルサイト＆トレーラー　
レナ･ヘディ　リチャード･ジェンキンス　ミシェル･ダンカン　

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