ベンジャミンの姓である 'バトン' は、 リレーのバトンでもチアガールのバトンでもなく、洋服のボタンのこと。 いかなる経緯でbuttonが 'ボタン' という読み方に定着したかは知らないが、 掛け違ったボタンをそのままにしておくなら 'ベンジャミン・ボタン' と言ったほうが、 ヘンテコなニュアンスはよりよく伝わる気もする。 まあ、 そんなことはさておき、 2時間40分の長旅ではあるが、 話題どおりに面白いトリップ。 少し前は時間を逆行する演出が流行ったが、 これは人生そのものが逆行する男の物語だ。
第一次大戦の終わり、 時計職人は駅の大時計を作ったが、 それは針が逆回転する時計であり、 戦争で死んだ息子を返せとのメッセージであった。 時期を同じくして生まれた子供がいた。 彼は老人のような体で生まれ、 老人ホームの前に捨てられるが、 そこを家として育つ。 周りの者が順番にこの世を去っていくなか、 彼は成長とともに若返っていく。 いろんな人が彼の人生を通り過ぎ、 影響を残していく。
川岸に座ることを何より愛したピグミー、 芸術家になりたかった船乗り、 人生で7回雷に打たれる男、 海峡横断に挫折したスイマー、 事故で踊れなくなったダンサー・・ ”人生を呪うこともできた" "永遠に続くものはない。 だから年齢に関係なく、 やりたいことをやればいいんだ" そんなメッセージを刻み込んで。
ちょっとバランスを崩せば冷めてしまいそうな危うい発想ではあるが、フィッツジェラルドの短編がベースになっているというのも頷けるほどの、 切なく、 奥深い雰囲気に仕上がっている。 逆さまに進行する時間は、 あらゆる時間の進行を相対化して、 これを見終わった後、さあ自分史でも書いてみようか・・ という気にさせられるくらい感慨深い。 ヴィジュアル・エフェクトもすごく不思議。 ジイさんのような子供の顔をよく見るとブラピだし、 それが徐々に若返って覇気が出てくる。 30代ぐらいまで遡って、 さっそうと歩く姿を見ると若々しい〜と思うが、 ブラピだってリアル年齢は45だし。。 まさに、 年齢にとらわれるのはもうやめるべきなのだ^ ^ 映画ではさらに10代のつやつや肌にまで逆行する。
アメリカの劇場では、 終映の際に拍手喝采が起きたなんて話も聞くが、 1本の映画を通して何かを考える。 映画を見て、 いまの現実に何かを持ち帰る。 そんな映画との関わり方がドーンとあるのが、 やや羨ましいかな。 日本公開の遅れ方はマシなほうで、 2/7から。 これは見といて損はない。
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
The Curious Case of Benjamin Button (2008)
2/7 公開 公式サイト&トレーラー
監督 デビッド・フィンチャー
脚本 エリック・ロス+ロビン・スウィコード
原作 F・スコット・フィッツジェラルド
ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット ティルダ・スウィントン
タラジ・P・ヘンソン
特別版(2枚組) [DVD] powered by G-Tools |
2 コメント:
お早うございます。
いつもTB有り難うございます。
今回も新作の早速のTBですね。
記事は大切に反映させて頂きます。
>象のロケットさま
いつもお世話になります。
注目の新作はいち早くレポートさせていただきます^ ^ 本年もよろしくお願いいたします。
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