10.30.2008

LAの片隅で 「素敵な人生のはじめ方」



素晴らしい映画! これが未公開とは。 。 たくさん映画を見るが、 ほんとにいいなと思うものは正直それほどあるわけじゃない。 これはもう久々のヒット。 ただ願わくば、 こんな二番煎じのどうでもいい邦題は付けないでほしい。 原題の "10 Items or Less" (10品以下) とはスーパーのレジ渋滞緩和策で、 10品以下の方用のレジという意味。 ジュース1本買うだけなのに並ばないで済むようにとの配慮からアメリカのスーパーなどでは当たり前になっているようだ。

レジ係の女25歳、 スペイン出身。 LA郊外の寂れたスーパーで働く彼女のもとに、 4年近く仕事をしていない俳優が新作への出演オファーを受けるかどうか決めるため、 ロケ場所であるこのスーパーの下見にやってくる。 製作はインディペンデントだし 監督は若造、 どうしようか、 などともったいを付けてやってくるのだが、 こんな設定自体がすでに物語の一部になっているわけだ。

落ち目の俳優とレジ係は少し会話を交わし、 俳優の迎えが来ないために レジ係がクルマで送って行くことに。 彼女はこのあと別の仕事の面接を控えていたが、 元夫の浮気あるいは生活の疲れからか、 どうせ私なんて、 と弱音を吐く。 俳優は彼女に、 面接に向けてのイメージづくりから心得までを演技指導する。



レジ係の女を演じるパス・ベガは、 一時期のペネロペ・クルスのようなニュアンスで好演。 落ち目の俳優を演じるモーガン・フリーマンはこの作品で製作総指揮を兼任、 心から楽しそうに出演している。 LAの片隅の半日ロードムービー、 笑いも存分に盛り込まれ、 ラテン音楽と、 後半の黄色いクルマが走り出すシーンに流れる挿入歌もいい。 日常のつまらないことを笑い飛ばし、 ありきたりな言い方だが、 元気になれる快作。 下になぜ 「子鹿物語」 が出ているかは見てのお楽しみ。 お薦め中のお薦めだ!


素敵な人生のはじめ方 10 Items or Less (2006) 日本未公開
監督 ブラッド・シルバーリング 
パス・ベガ モーガン・フリーマン 
素敵な人生のはじめ方[DVD]
小鹿物語 小鹿物語 The Yearling (1947)
グレゴリー・ペック, クロード・ジャーマン・Jr

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