12.03.2010

You're dealing with Yakuza. 「アウトレイジ」



見逃した大物がDVDになる季節か、 本日はコレ。 何本かあると、 まずエグそうなのに手が伸びる自分だが、 その期待に十二分に応えてくれた^ ^ 北野作品のなかでは 「ソナチネ」 をナンバーワンに挙げる自分としては、 それ以降の海外賞で動員数の伸びたアート系の作品より、 やっぱコレだよコレという感じ。 以前のたけしの映画と言えば、 気持ちいいほど映画館はガラガラだったのが懐かしい。

本作は海外でコケたと聞いていたが、 納得。 カンヌでもヴェネチアでもやはりアート系が期待されていたのだろう。 そこへ、 ベタベタのやくざ映画を持って行ったのだから^ ^ そんなに何度も賞を取っても 'しょう' がない・・(´・ω・`) なら好きにやろう、 という気概?が感じられる。 画面は比較的普通で、 その代わりシナリオをしっかり練った。

映画の銃声はいつの頃からか、 バキューンからガツンという響きに変わった。 たけしの映画もその最たるものだ。 せっかくDVDだしと止めてコマ送りで見てみると、 暗闇での閃光はほんの一瞬、 銃口が光る同時に薬莢が飛び出している。 (上photo オールバックの男の顔の前にその軌跡) そのあと煙・・ 今回は銃以外にも、 さまざまな殺しの方のオンパレード。 わざわざ そんな殺し方をしなくても・・ と思わしめるまでに凝っている。 クルマから飛び出したのは撮影では人形のはずだが、 微妙に動いていたりする。 そんな部分に感銘を受けて本日のスチールは、 印象的な殺しのシーンばかりをスクリーンショットで並べてみた^ ^

ストーリーについてはあまり触れるわけにはいかないので、 キャラについて。 みんなそれぞれに いいヤクザっぷりだが、 椎名桔平、 加瀬亮がいい。 椎名は終始リラックスした態度の、 ある種 昔気質なヤクザで、 ニヤついた目の奥に破滅的な何かを秘めている。 加瀬は英語を話し、 ギャンブルや金融に強い起業家ヤクザ? 治外法権ということで大使館をカモにするのだが、 こんなことあり得るのだろうか。 。 エントリータイトルはその加瀬のセリフ。 "てめえ ヤクザと取引きしてんだろ?" 契約しないからとNHKから訴えられた人の心境か。 。 今は調子のいいジジイにしか見えない本家会長も何らかの手腕で のし上がって来たのだろうし、 若頭の三浦友和は意外な武器を使う。 昨日の兄弟は今日の敵、 明日の親子でさえも・・ 痛々しいシーンの数々はエグすぎて笑うしかない。

たけしの衣装は 「BROTHER」 からの山本耀司で、 最近はコレクションも見てないが やっぱりカッコいい。 鈴木慶一の音楽も微妙なところで光る。 そうして見終わってみたら、 世代交代の停滞した日本社会のようでもあった。 既得権にしがみついた老体は、 こうやって引退してもらうしかないのか。 。 つっぱっていた男が弱気になる瞬間があって、 それが予兆のように現れたら殺られるなんてところも感慨深い。



アウトレイジ (2010日本) 公式サイト 象のロケット 
脚本・監督・編集 北野武 音楽 鈴木慶一 
ビートたけし 椎名桔平 三浦友和 加瀬亮 柄本時生 塚本高史 しいなえいひ 
中野英雄 杉本哲太 石橋蓮司 國村隼 小日向文世 北村総一朗 

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