12.28.2010

Lose yourself. 「ブラック・スワン」



このブログを始めて2年半か・・ 新作の追っかけとDVDのフォロー (+趣味のホラー) に追われて、 名作をじっくり振り返る余裕がない。 そうして思うのは、 話題作は次々に生まれてくる、 ということ。 もちろん自動的に生まれるわけではなく、 さまざまな努力と才能と経済活動によって生んでいるわけだが、 この飽くなきバイタリティは見習わなくてはいけない。 そして本日はコレ、 日本公開は来年のGWと言うから気の遠い話だ。 ガラパゴスは携帯に限った話ではないのがよくわかる。 そんな日本の映画観客の不幸を尻目に、 今日も走り書いていこう。

レスラー」 で一皮むけたアロノフスキー監督がハリウッドに呼ばれて、 ヘンテコな企画に巻き込まれた。 そんな風に予想していた。 話はメロドラマ、 などとも聞いていたし、 バレエ・カンパニーのドロドロとした内幕をサスペンス仕立てで・・ みたいな感じかなと思っていたら、 そんな浅はかなものではなかったし、 意外によかった。 さすがアロノフスキー、 一皮むけただけのことはある^ ^

バレエなんて数えるほどしか見たことがないので、 "白鳥の湖" がどういう物語かなんて知りもしなかった。 その昔、 童話をベースにバレエにアレンジされたそうで、 白鳥に変えられた娘は王子の真の愛で目覚めるはずが、 もう一人の自分である黒鳥に王子を誘惑され、 絶望して自ら命を絶つ。 そんな話らしい。 これは見事に本作のテーマとなって次のようなセリフに結実している。

The only person standing in your way, is you. It's time to let her go.
Lose yourself. 君の前に立ちはだかるのは 君 もう邪魔させるな 自分を捨てろ

これはヴァンサン・カッセル演じる NYのバレエ団の演出家がスワン・クイーンに言うセリフ。 カッセルは地位を利用してエロい行為に出る男かと思っていたら、 まったく違っていた^ ^

さらに "白鳥の湖" では、 同じダンサーが白鳥と黒鳥の二役を踊ることになっているらしい。 ナタリー・ポートマン演じるニーナは主役選びの段階で "白鳥だけなら間違いなく君だ しかし君に黒鳥は踊れない" と言われる。 王子を誘惑する黒鳥は、 白鳥とはまるで違う感覚で踊らなければならない。 バレリーナだった母に育てられたニーナは 28才になっても自宅通いで男っ気がない。 母の指導と地道な努力だけではスワン・クイーンにはなれないのだった。

そこへサンフランシスコから呼ばれて来たリリー。 ニーナとは正反対に奔放で、 背中にタトゥなんかを入れている新種のバレリーナだ。 ニーナはリリーを意識するが、 受け入れることはなく冷たく接する。 しかしやがて科学反応は起こり、 ニーナは変わり始める。 クイーンに選ばれ、 ブラック・スワンを踊ろうと苦闘する。

一皮むけるまでに いろいろあったであろう監督だからこそ、 真実味を持って語れるテーマと言える。 だが夢と現実の境界が曖昧になるところは皮肉にも 「π」 に戻ったようで、 さらには新手のホラータッチで攻めてくる^ ^ そしてついに舞台は幕を開け、 "Lose yourself" の言葉通りに変貌したニーナは完璧な黒鳥を踊るが・・

ここでクイズ、 ニーナの携帯の着メロは何の曲でしょう? 正解は来年GWに^ ^




ブラック・スワン BLACK SWAN (2010) 日本公開2011.5/11~ 公式サイト 
監督 ダーレン・アロノフスキー  象のロケット 
ナタリー・ポートマン ヴァンサン・カッセル ミラ・クニス 
ウィノナ・ライダー バーバラ・ハーシー 
ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD][DVD]


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