2.07.2009

コンテンツとしての無声映画 「狂った一頁」



75年のサウンド版というもので見たが、 尺八などを使った前衛的な音楽が付いている。 とりあえず削除されずに残っているこのYouTubeの冒頭の数分と同じものだ。 オリジナルを無声のまま映写し、現代音楽のピアノ曲などを生演奏するといった上映会もあったようだ。 音を主役にするだけでなく、 リカットやリミックスに通じる楽しみ方とも言える。

セリフも字幕もないのでわかりにくいが、 資料によるとストーリーはこんな感じ。 "男は妻子を捨て、船乗りとして外国へ渡る。 数年後に帰国したとき、 妻は発狂し精神病院に収容されていた。 娘には恋人がいたが、 母のこともあり結婚できず。 男は病院の使用人となり妻の世話をするが、 妻にはそれが誰か認識できない・・" 原作は川端康成とのこと。

アヴァンギャルド、 ドイツ表現主義、 シュールレアリズム、 アングラ・・ 正しい系譜はこの際置いといて; ざっくりとそんな感じだが、 コマ数が少なく、 オーバーラップを多用する短いカットの連続は、 詩情と不気味のあいだを揺れ動いて、 自分などがまず思い出したのが 「リング」 の中の呪いのビデオだ^ ^

こうした素材は得てしてDVD化などはされていないが、 ロングテールなコンテンツとしてじゅうぶんなポテンシャルを持っているのではないだろうか。



狂った一頁 a Page of Madness (1926/大正15年 日本) 無声 58min
監督 衣笠貞之助 原作 川端康成 撮影補助 円谷英一 
井上正夫 中川芳江 飯島綾子 根本宏 関操 高勢実 高松恭助 坪井哲 南栄子
製作 新感覚派映画連盟・ナショナルアートフィルム社 

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