1.28.2009

社会派スプラッター 「生活保護打ち切り隊」



何だろなコレ? と思って見たが、 面白い! だが、 ジョン・カーペンターのように監督から音楽までをこなす戸梶圭太氏、 「闇の楽園」 や堤幸彦監督で映画化された 「溺れる魚」 の原作者でもあると聞けば納得。 バリバリ低予算な映像、 深夜のテレビ番組風なノリではあるが、 さすがにストーリーはしっかりしているし、 キャスティングにも独特のこだわりを感じる。

主人公は、 足立区職員! 生活保護予算を抑えられない区は、 不正受給を暴いてこれをストップするための特殊班を街に送り込む。 (参照:東京23区の生活保護率) 非常に斬新で、 ある意味タイムリーな?切り口だが、 そのやり口にも "ありえない" とは言い切れないブラックなエピソードがふんだんに取り入れられている。 ときに誇張され、 探偵物のように話は進行するが、 やがて意外な展開へ・・。 職員(=エージェント)のキャラ設定も不必要なまでに掘り下げられ、 その結果、 多彩なサブキャラを巻き込んでいるが、 それすら決して本筋を妨げるものではなく、むしろ物語に予算オーバーの膨らみを持たせていると言える。

また演出の振幅は、 ときに社会派に振れたかと思うと、 揺り戻すかのように大きくスプラッターに振れる。 この微妙なバランスに着いて来れない人も少なからずいるのではないかと推測するが、 想定された客層はなく、 監督自身が観客ゆえのことだろう。 そういう意味で本来のインディーズスピリットにあふれる作品だが、 収まるべきところに収まっているインディーズ作品の多い昨今、 はっきりとした主観のある作風に好感すら覚える。 単純にアマ、プロと仕分けできない、 何かもう1点の起爆剤が仕込まれればムーブメントになってしまいそうなポテンシャルを感じると言えば言いすぎだろうか。 いずれにせよ、 ちょっと変わったものが見れて楽しかった。 ぜひレンタルでもしてみてくれたまえ。 (影響を受けて探偵調になってしまう)


生活保護打ち切り隊 (2008日本) 公式サイト 
製作・脚本・監督・撮影・音楽 戸梶圭太 インタビュー 特殊効果 西村映像 
鳥栖なおこ 上川かおり 春田和宏 川北冬樹 水谷ケイ 武藤令子 
ワニ完才 水上莉枝子 渋谷優 谷更紗 劇団ナルペクト 

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