6.12.2008

どうしても許せない行為 「譜めくりの女」


譜めくりの女 LA TOURNEUSE DE PAGES (2008フランス)
監督 ドゥニ・デルクール 
カトリーヌ・フロ デボラ・フランソワ 

デルクール監督はこの脚本を日本で執筆したそうで、 執筆のかたわら 「リング」 などを見ていたというのは意外。 日本びいきの監督の本作品はそれでも、 どちらかと言えば 三島由紀夫 「午後の曳航」 に通じるものを感じる。

幼少の頃、 ピアノに夢中だった少女。 しかし少女の夢は、 音楽学校の試験の日に審査員である有名ピアニストの '無神経な' 行為であっさり壊れてしまう。

それから十数年の後、 格調高いクラシック音楽とともに遂行される復讐劇は ハリウッド物とはまるで違うが、 普通なら 「その程度のことで夢をあきらめる方が悪い、 それは逆ギレだ」 となるだろう。 しかしそれでも、 どうしても許せない行為というのはあるのだ。 だからこそ、 このひねくれた復讐は甘美。


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