12.31.2015

3/218


今年も本数は減ったものの、それでも218本も見ているんだなあ。で「気に入った!」に入ったのがこの3作。

マイ・デンジャラス・ビューティー SYRUP (2013) 日本未公開

IT FOLLOWS (2014) 日本公開未定

天使の欲望 (2013日本)

どんな内容だったかは、もうすでに忘れた。(読み返せば思い出すかな…)今年がどんな年だったかもすでに忘却の彼方。しかし、なぜか安ギターを3本も買って、そのうち1本はDanelectro56のリイシューというもので、これには微妙に燃えたことぐらい少し思い出せた。マルチネスのエレガットというのも欲しいんだけど中国製の割に安ギターとまではいかず。もう少し上手くなったら考えることにしよう。

ということで、よいお年を。

11.08.2015

古風なギャル 「天使の欲望」



1979年に同タイトルの日本映画があるため、そっちと間違えて借りてしまったかなと思うくらいレトロなタッチ。しかし70年代後半などでなく、もっとさかのぼって60年代くらいの日本映画にあったストレートなセリフ、強い目線に原初的な「映画力」を感じる。タイトル、縦書きのオープニングクレジットまでが昔風で、エンディングも「完」でストンと。

古風な話し方であってもスカートの短かい高校生というところは今風だったり、特定の時代を狙った設定でもないところが逆に新鮮。40分弱と短いにもかかわらずヘビーな後味で、ゆうばりやレインダンスで話題になるのも納得。OLから転身した女性監督とのことで、この異質さは好みだし、できれば次回作があってほしい。



天使の欲望 (2013日本)
脚本・監督 磯谷渚 
本間玲音 柳英里紗 中谷仁美 相馬有紀実 

11.03.2015

新趣向 Bone Tomahawk



西部劇かなと思って見た人がブーイングを飛ばしているようだが、ホラーとして見るなら新趣向と言える。ドラマチックさを期待せず淡々と見るなら西部劇としてもじゅうぶん面白いとも思う。

のっけからノド元をかき切っての盗賊シーン。骨のトマホークを使う白塗りのインディアン。妻を救わんと立ち向かうのは凛々しい男たち。ワイドレンズが多いのか、西部劇なのにその場にいるような臨場感。これらが不思議な効果を作り出し、ホラーか西部劇かはどうでもよくなってグイグイ引きこまれる。

足、手首、指、頭の皮、股裂き・・わざとらしいまでの残虐シーンが要所に取り入れられ、骨太な痛々しさも満喫できる。来年のハロウィンはこれで決まりだ。



トマホーク ガンマンvs食人族 Bone Tomahawk (2015) 日本未公開
監督 S・クレイグ・ザラー 
カート・ラッセル パトリック・ウィルソン リリー・シモンズ 
マシュー・フォックス リチャード・ジェンキンス 

10.01.2015

アイオワの主婦 SPY



久しぶりにエントリーしたのがコレかと(いい意味で)感慨を覚えずにはいられない。スパイ映画というジャンルがいつの頃からか確立され、とくに好きなジャンルではないものの、オープニング曲の曲調から笑える微妙な凝り方。スパイ映画のパロディというより、こんなスパイ物もあっていいだろう的なノリなので、元ネタにこだわらず楽しめる。

CIAに入社(入所?)して10年、ぽっちゃり型への偏見から常にサポート役だったスーザン・クーパー。実は訓練時の成績が優秀すぎて、自分で恐くなって内勤を希望したという経緯があった。しかしスーザンが愛するブラッドリー・ファイン(ジュード・ロウ)の危機に際して、ついにエージェントデビュー。そして思わぬスーパースパイの誕生となる。

ジュード・ロウ、ジェイソン・ステイサムという豪華キャスト自体が笑える。しかし散りばめられたギャグの微妙な質が日本で受けるかどうかは定かではない。非常にハイリスク・ハイリターン?なスパイ映画と言えるのではないかと思うが、公開されたら乞うご期待。エントリータイトルは偽装IDの設定。




SPY (2015) 日本未公開
監督 ポール・フェイグ 
メリッサ・マッカーシー ジュード・ロウ ジェイソン・ステイサム 
ローズ・バーン モリーナ・バッカリン ミランダ・ハート 
ピーター・セラフィノウィッツ アリソン・ジャネイ 50 Cent 

7.10.2015

人を見る目 「ドラフト・デイ」



アメフトはぜんぜん知らないし、ケビン・コスナーのファンでもないが、なぜかウォッチリストに入っていたので見たら悪くなかった。ドラフトと言えば日本野球での一昔前の状況しか知らないが、こんな公認の裏取引きのようなことがあるのだろうか。

コスナー演じるジェネラルマネージャーのサニーは、ライバルチームと取引して、向こう3年分の「一巡指名権」と引き換えに花形選手ボー・キャラハンを獲得する手はずとなる。花形ではあるが棚ぼたのこの選手についてよく知らず、急きょ調査。当然ながら成績は良く、事件も起こさず、どこにも欠点はないかに見えたこの選手だが1つ気になることがあった。彼の21才の誕生パーティにチアリーダーは多数来たが、大学のチームメイトが誰一人として来なかったというのだ。

サニーはオーナーからも花形選手を採れとプレッシャーをかけられ、キャラハン獲得の噂に外野は盛り上がったが、ギリギリまで最終決断を先延ばし、タイムリミットの数分前にようやく答えを出す。誰が何と言おうと自分が見込んだ選手を集め、自分のチームを作るのが俺の仕事だ。それがサニーの結論だった。クビを覚悟で結論を出したサニーは吹っ切れて、その後は次々と新手の取引きを繰り出す。

鳴り物入りの破格な契約金で獲得しても想定通りに活躍してくれるとは限らないのが世の常だろうし、ましてやこのところ芳しくないチーム。人を選ぶというのは難しいことだろう。だから成績で選ぶ?他人の評価を総合する?そういう尺度が働く世界では世渡り上手が有利だろう。キャラハンはまさにそういうタイプだった。どんな質問にもソツなく答えるが、サニーは歯ごたえを感じず。

NFLドラフトの長い一日を切り取って、映画としてじゅうぶん成立しているわけだが、人を見る目というものがあやふやになっている状況がアメリカにもあるからこそ取り上げられたのだろうし、アメリカ臭い題材でありながら、ハリウッド映画が内向になったと言われる昨今、意外に内向きではない内容を持った作品ではないかと思う。また人事部長などにも見て欲しい作品と言える。

ドラフト・デイ DRAFT DAY (2014) 日本公開2015 公式サイト
監督 アイヴァン・ライトマン 
ケビン・コスナー ジェニファー・ガーナー エレン・バースティン 

6.08.2015

フォローしないで IT FOLLOWS



トレーラーを見ると殺人鬼モノかなという印象だが、まったく違っていて、都市伝説的な不思議エピソード。予想以上に不気味だし、フォローという現代的な暗示を含め、いろんなニュアンスが盛り込まれていながら、シンプルでオリジナリティを感じる新鮮な作品となっている。

何かがついてくる…。それは色情霊のように、たいてい裸に近い格好で、見たことのある人だったり、見たことはないがどこにでもいそうな人だったり。しかし確実に自分に近づいてくる。それに捕まるとどうなるかは最初のシークエンスでしっかり見せてくれる。これにフォローされている者と寝たら、今度それは自分をフォローしてくる。助かるには別の誰かと寝るしかないが、相手が死ん場合はまた戻ってくる。

風にそよぐ木々、プール、古いブラウン管のテレビ、白黒映画などゴシック的な引用を取り入れながら、音楽は懐かしい感じのジョン・カーペンター風だったり。かと思えば、構図などは凝っていてモダンな気がするし、スローモーションやステディカムなどもさりげなく入ってくる。そのくせ詰め込みすぎでもなく涼しげで、巧みな計算の得意なセンスのある監督といった印象。

目立ったキャストはいないものの、退屈で気だるい若かりし日の夏休みをふと思い出すような、ああホラーってこれいいんだよな、とホラー映画のアーキタイプのように自分的には思えた作品。というのは褒めすぎかもしれないが、こういう作品が今後増えてくるとしたら歓迎すべきトレンドではある。公開されるのかされないのかは知らないが、上映するならまさに今という季節だろう。そんなことを書きながらふと空を見上げると、子供の頃の早朝ラジオ体操で見た空と同じで、物悲しく爽やかな朝だ。




イット・フォローズ IT FOLLOWS (2014) 日本公開2016
監督 デビッド・ロバート・ミッチェル 
マイカ・モンロー キーア・ギルクリスト ダニエル・ゾボット 
ジェイク・ウィアリー リリ・セペ オリヴィア・ルカルディ 
ベイリー・スプライ 
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5.23.2015

中庭の木 Ex Machina



監督は眠そうな目をして、このエヴァのデザインも自分で考えたそうだが、この山奥の研究施設が外から見たらボロい小屋なのに、地下には中庭を配した空間が広がっているなど、建築にも造形の深そうな人だ。AUTOMATAのように、人類は機械生命体を生み出すのが役割で、人類の進化形こそがAIだという微妙な屁理屈はなかなかいいし、面白い映画ではあった。

CGにはお金がかかってそうだが、その分キャストは節約され登場人物はほぼ4人、ロケーションもほとんどが山小屋内というワンシチュエーション・ドラマ。世界を覆う検索エンジンもAIを作る過程に過ぎなかったと語る男は、この施設にこもって、たった一人で、なぜか女性型ばかりバージョン9.6まで完成させたという家内工業的なニュアンスも少し笑える。ブルーボックス社の優秀なプログラマーだから選ばれたという青年も、実は彼女がいなくダマされやすそうだからという理由で選ばれており、エヴァの顔も実は青年がよく見ていたポルノサイトから収集されていたなど、いい感じでB級っぽさが露呈する。

もう一人、キョウコと呼ばれる謎の寿司職人が出てくる。プロフィールでは東京出身のバレエダンサーということらしいが、映画で披露するダンスはなぜか70年代風ディスコ・ステップ。CEOはこれだけの天才でありながら、毎日のように酒に酔いつぶれるわ、ちょっと来いと言ってポロックの絵の前で「もし画家が、これから自分が何を描こうとしているかわからないなら描けない者であれば、点すら描けない」という持論を説くわで、なるほどなあと思いつつ、なぜか笑いを誘うシーンに満ちている映画だ。もちろん、いい意味で。

青年がエヴァに、描きたいものを自分で選んで描いてくれと言うと、彼女は中庭の木を描く。生まれてこの方、部屋から出たことがないからだが、そのことがなぜか可愛いと思った。AIと言えど入力される情報が乏しいとアウトプットも子供っぽい。1000年以内に人類は滅亡するとホーキング博士は語ったそうだが、対象が人間か機械かを見定めてからでないと愛せない者は、何も愛せないということだろうか。愛にあふれた人類は、やはり次の進化のカタチであるものを生み出すためのステップなのかもしれない。乞うご期待。




エクス・マキナ Ex Machina (2015イギリス) 日本公開未定
脚本・監督 アレックス・ガーランド 
ドーナル・グリーソン オスカー・アイザック アリシア・ヴィキャンデル 
ソノヤ・ミズノ