2.20.2013

涙のワケは聞かないで 「ゼロ・ダーク・サーティ」



2年近く前になるのか、 ビン・ラディンが殺されたというニュースは知っていたが、 お祭り騒ぎするわけでもなく、 微妙にひっかかりを覚えるサラッとした情報として記憶している。 しかしよく考えてみたら、 これを詳しく掘り下げない手はない。 アメリカではしっかり作られていた。 事実に基づくセミドキュメンタリーということで、 取材にも相当な労力を割いたそうだ。 しかしとくに政治的なバイアスはなく、 2時間半を超える長丁場ではあるが娯楽作品として仕上がっている。

ビン・ラディンを追いつめたのは一人の女性だった、 とキャッチにもある通り、 へえと思うが、 その個人的なモチベーションについては触れられていない。 ドラマの大半を通して、 CIAも普通の組織なんだなと感じるが、 それを突き破るのは上司を脅してまで持論に食い下がる彼女の 'やる気' なのだ。 のちに "100%の彼女" と呼ばれるマヤは、 拷問に抵抗を感じながらも自らの '読み' を証明したいという以上に、 あいつを殺したいという執念に燃えてゆく。

執念の根拠は恐らく想像する通りだろう。 しかし目標達成後に彼女が見せる涙は、 演出以上に何らかの意味があるのだろうか。 描きにくいテーマを真正面から追うので伏せなければならないことも多いのだろう。 意欲的な作品だし面白いが、 どことなく戦国時代の、 大将の首を取りました的なものを感じた。 違うのはその子どもを根絶やしにするなどとは考えず、 またさまざまなハイテクが導入されていることだろうか。

タイトルは軍隊用語で深夜0:30のことだそうだ。 急襲が行われ、 そして目的が達成された時間、 しかしなぜビン・ラディンの顔まで伏せる必要があるのか。 露骨だから? やっていることは露骨なのだから今さら。 そっくりさんの俳優がいなかった? そんなワケないでしょ^ ^ まさか、 良心の呵責じゃないだろうな。 。


ゼロ・ダーク・サーティ ZERO DARK THIRTY (2012)
監督 キャスリン・ビグロー  日本公開2013.2/15 公式サイト・予告 象のロケット 
ジェシカ・チャステイン ジェイソン・クラーク ジョエル・エドガートン 
ジェニファー・イーリー マーク・ストロング 

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