
雨の日の昼間にノンビリしているのも久しぶりな気がして、 なぜか野球映画でも見たくなった。 しかしこれはスポ根ではなく、 データ野球、 あるいはID野球などとも言われてたっけ。 この物語のアスレチックスやレッドソックスが90年代初頭ということは、 ちょうどヤクルトの野村監督が注目されていたのと同時期。 さまざまな先入観での評価を切り捨てて、 シビアに結果を求める、 タイトル通りの経済野球でもある。
それ以上に興味を引くのが、 貧乏球団オークランド・アスレチックスのGMであるビリー・ジーンじゃなかったビリー・ビーンは、 かつては野球選手としての未来を嘱望され、 大学進学をあきらめて高値で球界に買い上げられた男ということ。 だが鳴り物入りで登場しながら活躍できず早期に引退した負け犬でもあった。 映画というのはなぜか負け犬にフォーカスしてしまう。
負け犬はそれでも勝ちたいと思い続け、 球界の古い体質を破る経営を持ち込む。 過小評価されている選手をリーズナブルに買い取り、 眠っている可能性を引き出す。 低予算で優勝できるチームを作る。 まさに投資のようなスタイルで、 さまざまな軋轢を受けながらも球界に旋風を起こす。 しかしまた優勝を目の前にすると呪いがかかったりする。
ビリーの方法論は評価され、 GMとしては最高値でレッドソックスから声がかかるが、 負け犬の傷はなかなか癒えない。 それを受けることはかつての失敗と同じであり、 自分が反旗を翻した球界の古いやり方に再び飲み込まれることだからだ。 そんな彼の心を映すかのように、 ビリーの娘が歌う歌がいい。
♪ 私は小さな女の子 道に迷っている
人生は迷路 恋は謎
どっちへ進めばいいの
わからないわ


マネーボール Moneyball (2011) 日本公開2011.11 公式サイト 象のロケット
監督 ベネット・ミラー
ブラッド・ピット ジョナ・ヒル フィリップ・シーモア・ホフマン
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