9.28.2011
指先からプラズマ 「メランコリア」
「アンチクライスト」 の記憶も生々しい折り、 立て続けに新作を送り込んできたラース・フォン・トリアー。 タイトルは 「メランコリア」 (原題) 、 何となく またしてもタルコフスキーを彷彿とさせる響き。 日本どころか海外でもまだこれから公開されるところだが、 いち早く観る機会を得たのでレポート。
メランコリアとは太陽の裏側に隠れていたため発見されなかった惑星の名前で、 突然現れておきながら、 衝突しそうな勢いで地球に近づいてくる。 科学者は軌道計算の結果、 ギリギリのところで衝突は避けられると説明する。 しかしもし計算が間違っていたらと人々を憂鬱に陥れる、 まさにメランコリア。
終末を描いた映画は多々あるが、 トリアー監督は前作が前作だけに^ ^ 口直しさせておこうかとでも考えたのか、 ひときわポエティックな終末感を描いてみせる。 構成は例によってチャプター分けされていて今回は二部構成、 チャプター1はキルステン・ダンスト演じるジャスティンの結婚式で始まる。 一見、 幸せの頂点に思えた披露宴の最中に、 ジャスティンは空を見上げ おかしな行動を取り始める。
チャプター2では 「アンチクライスト」 に続いて出演のシャルロット・ゲンズブール演じるジャスティンの姉クレアが、 メランコリアの真実に遭遇する。 姉妹とクレアの幼い息子は最後のマジックを信じて手を握り合う。
イントロに例の超スローモーションによるビジュアルを惜しげもなく置いているため、 その後のドラマがややもすれば退屈な気がするが、 着想はやはりユニーク。 前作などに比べるとあっさりしているようにも思えるが、 微妙に連想される 「ツリー・オブ・ライフ」 とは違って今のところ否定的な評は見かけない。 自分的にも '見たい度' の高い作品だったが、 見てみたら思ったより盛り上がらなかったかな。 日本公開は未定ながら、 とりあえずは乞うご期待。
(追記) 日本公開は来年2月に決まったそうだ。
メランコリア Melancholia (2011) 日本公開2012.2/17
脚本・監督 ラース・フォン・トリアー
キルステン・ダンスト シャルロット・ゲンズブール キーファー・サザーランド
シャーロット・ランプリング ジョン・ハート
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