ヒース・レジャーの急死により一時は製作継続が危ぶまれたが、 設定変更によりヒースの代役をジョニデ、 ジュドロ、 コリファ^ ^が分担して引き受け、 無事完成。 変更された設定とは、 鏡の中の世界へ入ると顔が変わるというもの。 夢の世界ではさまざまな男前に変身できるというわけだ。
不気味な感覚のこの設定変更は、 苦肉の策ともケガの功名とも言える。 もし最初からそんな設定であればヒースは、 俺は男前じゃないのか?とヘソを曲げただろうから^ ^ 三人の代役のうちジョニデやジュドロは比較的あっさりとした出番で、 コリファが一番おいしいところを持って行ったもよう。
物語はというと、 悪魔とギャンブルをして永遠の命を得たパルナサス博士が、 それは永遠の苦しみという罠だったことに気づき、 その後また寿命を取り返すが、 その代償は娘。 娘が16になるまでに鏡の世界に5つの魂を捧げなければ、 娘を取られる。
この娘役がモデル出身のリリー・コールで、 なかなか父性本能を刺激される可愛さなのだ。 堂々とした演技っぷりも今後の可能性を感じさせる。 父と娘の物語は現実にもオーバーラップしていて、 テリー・ギリアム監督の娘が共同製作にあたっているそうだ。
博士は夢の世界へ誘う鏡、 鏡というよりはスリットの入ったフィルムで "イマジナリアム" と呼ばれるのだが、 見せ物小屋にこれを据えて興業を続けている。 しかしながら古くさいスタイルのショーは観客にアピールせず、 商売は上がったり。 そんな折り、 ひょんなことから首吊り男を助ける。 男は恵まれない子供を救う事業をやっていたが、 チャリティが実はマフィアのマネーロンダリングの場だったことにからんで殺されかけたらしい。 男には商才があって、 男の言う通りにやってみると観客は我先にと争った。
このへんはコテコテの思いつくままの展開という感じで、 それでもエネルギッシュに話は進行し、 相変わらずワイドレンズによる歪んだ世界、 二日酔いあるいはドラッグ感覚の映像は健在だが、 そこへさらに最新のCG技術が入ったかたちだ。
ちなみにテリー・ギリアム監督は、 アメリカ人ながらイギリスに渡り、 モンティ・パイソンの切り絵風のアニメをやってた人で、 その後 「未来世紀ブラジル」 などで大ブレイク、 個人的には 「フィッシャー・キング」 が好きだが、 そんなギリアムは最新の映像技術を得て逆に、 モンティ・パイソン時代のポップでキッチュな感覚に回帰しているようなところも見受けられる。 見せ物小屋のステージも '飛び出す絵本' 式に車載されている。 1900年代初頭あたりの話かと思えば急に携帯が鳴ったり、まさに時空を超越している。
やがて娘の誕生日まであと1時間、 残るはあと1つの魂というところで、 意外な事実が判明する。 すべては嘘、 すべてはトリック、 いい奴は悪い奴、 悪魔は友達・・ これ以上はネタバレになるといけないので割愛するが、 ヒントは首吊りと小さな笛。 一時期の非常に疲れるギトギトの世界^ ^から比べると、 小品になった気がしなくもないが、 時間もそれほど長くないし、 さくさくっと見れるのではないだろうか。 さあ、 どちらの笛が本物か・・。 クリストファー・プラマー、 トム・ウェイツのじじいコンビもいい味!
Dr.パルナサスの鏡 (2009イギリス・カナダ) 1/23〜 公式サイト&予告
The Imaginarium of Doctor Parnassus 象のロケット
監督 テリー・ギリアム
ヒース・レジャー クリストファー・プラマー リリー・コール
ジョニー・デップ ジュード・ロウ コリン・ファレル
アンドリュー・ガーフィールド ヴァーン・トロイヤー トム・ウェイツ
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