7.15.2009

ある日、ブレークする 「ロック・ミー・ハムレット!」



こんなに面白いんだったら、 ホラーばっかり見てないで もっと早く見とくんだった! 借りっぱなしになってたのは、 ジャケットや邦題がオバカ系に振り過ぎているせいだろう。 原題そのまま "ハムレット2" でいいではないか。 もちろん1はない。 というより1はシェイクスピアのハムレットそのもので、 大胆にも その続編を銘打っているところが面白いわけだ。 サンダンスでも人気だったそうで、 それが日本では未公開、 アホな邦題のDVDになって出てくるのだ。

あとで話題にするときも海外なら "ハムレット2、 よかったぜ" とか言うのに、 日本では "ロック・ミー・ハムレット!よかったよ" なんて、 なんともサエないではないか。 ボヤキはこのへんにして本編の話へ..

少年期に父の反対を押し切って演劇を志した男だが、 芸術的な志の高さに反してドタバタ番組やCMに出てる程度の現状。 生活のために高校のドラマ講座を教えている。 場所はテキサス州ツーソン。 ツーソンと聞くとスコセッシの 「アリスの恋」 が思い出されるが、 田舎町の代名詞なのだろう。

ドラマ講座といっても受講生は普段は二人しかいない。 それがどうしたことか、 今日は大勢集まった。 改築工事で他に受けるクラスがないからだという。 最初はどうでもよさそうだったプエルトリカンたちも、 男の熱意あるいは変人さに動かされ、 やる気になってくる。

校内には辛口の批評家もいて、 いつも痛いことを学校新聞に書かれるが、 その少年から "オリジナルをやれ" との示唆を受ける。 そこで男が思いついたのが 'ハムレット2' で、 タイムマシンで時代をさかのぼり、 悲劇を喜劇に変えてみせるというストーリー。 そのなかにいろいろとスキャンダラスな要素を盛り込んでしまったので、 高校側からは上演禁止、 ドラマ講座も打ち切りを言い渡される。 さらにはツーソン市教育委員会からも圧力がかかる。

ところが捨てる神あれば拾う神ありで、 辛口の少年批評家がこの経緯をタウン紙に暴露。 すると人権団体代表やらがやって来てサポートすると言う。 生徒たちも自分たちで会場を調達し、 アメフト部の友だちに頼んでセキュリティガードを固める。 何が何でも上演するのだと一丸となる。

この間、 妻が居候と浮気して出て行ったり、 お腹の子は自分の子ではなかったなど男には辛いことが重なるが、 逆に生徒たちから励まされたりして何とか上演にこぎつける。 当日、 話題を聞きつけたメディアが殺到するなか、 ハムレット2は上演される。 舞台美術はけっこう本格的なものになり、 ワイヤーアクションまで飛び出すが、 全体的にはミュージカル仕立てになっていて、 とりわけセクシーなセレブとして描かれたキリストが物議をかもす。

ここまで書いても、 それほど面白そうな気がしないかもしれないが、 スティーブ・クーガンの演じっぷりとフレミング監督の左手の法則・・じゃなかった演出があいまって、 いいテンションで笑い、 乗っていける。 「リービング・ラスベガス」 のエリザベス・シューが、 エリザベス・シュー本人として出ている。 ハリウッドに嫌気がさして転職、 いまは看護婦をしているという設定。 アメリカの芸術教育の貧困ぶり、 政治的・宗教的なリアクションの描き方なども面白い。

やがて彼らは この特別な経験を経て成長し、 ブロードウェイで上演されることになったハムレット2を見にやってくる。 NYの通りを闊歩しながら、 ブレークスルーの気分を満喫する、 まさに CHANGE! な感じ、 現状打破の励みになる映画。 ひさびさにお薦めの1本!




ロック・ミー・ハムレット! HAMLET 2 (2008) 日本未公開 
監督 アンドリュー・フレミング 
スティーブ・クーガン キャサリン・キーナー デビッド・アークエット 
ジョセフ・ジュリアン・ソリア エイミー・ポーラー エリザベス・シュー 
ロック・ミー・ハムレット! [DVD][DVD]
おすすめ平均star
star2008年サンダンス映画祭で、最高値でバイヤーに買われた映画!!

 レジェンド・オブ・ウォーリアー 反逆の勇者 [DVD] ファニーゲームU.S.A. [DVD] 戦場からの脱出 [DVD] ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ 特別版 [DVD] ヘルボーイ ゴールデン・アーミー リミテッド・バージョン [DVD]

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