4.10.2009

リスクを取る教育 「ブタがいた教室」



1990年に大阪の小学校で実際にあったことらしい。 上の子がちょうど卒業式を迎えた後だったので、 学校の雰囲気など、 リアルだな〜なんて言いながらいっしょに見た。

新任の教師は、 子供に "命と向き合うこと" を教えたいと、 クラスでブタを飼い、 卒業までにそれを食べようと提案する。 「いのちの食べかた」 (2005) という映画があったのだが、 それよりもずっと前のことなので、 かなり先進的な先生だったわけだ。 さらに校長が理解のある人だったのでプログラムは認められたが、 他の職員の態度は映画でも非常に冷ややかだ。

子供たちは思いのほかブタに愛着を示し、 不慣れだった世話も板について、 しだいに情が移ってくる。 そうなると問題になってくるのは、 これを殺して食べるということが残酷な行為にしか思えないということ。 先生は子供たちに多様な意見のぶつけ合いを促し、 あくまで自分たちで結論を出すよう求める。

自分の意見を自分の言葉で発し、 思いあまって涙がこぼれる。 このあたりもドキュメンタリーを見るようで、 果たして決められたセリフなどはあったのだろうか。 実際に子供たちはこんな話し方をするし、 どういう演出をしたら こんなシーンが撮れるのだろうか。 だが少しだけ微妙に感じるのは、 なぜ東京の小学校に移し替えられたのだろう。 事実をなぞればいいというわけではないが、 子供はリアルでも大人は固い気がした。

ペットのように飼うことと飼育は違うだろうし、 最後は苦渋の選択となっていることも当初の目的とは違う。 そういう意味で、 けっして褒められた教育プログラムではないが、 それでも、 子供の携帯にはフィルターをかけましょうなどと禁止一辺倒よりは、 リスクを負いながら得るものもある姿勢と言える。 ただ、 昔こんなことがあったよ、 ということのレポート以上に、 現在の教育事情に何かを提言しているかと言えば疑問ではあるが。

ブタがいた教室 (2008日本)
監督 前田哲  オフィシャルサイト&予告編 
妻夫木聡 大杉漣 ピエール瀧 戸田菜穂 原田美枝子 
ブタがいた教室 (通常版) [DVD]通常版 [DVD]

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