
イーストウッドはなぜ撮り急ぐのだろう。 思いつく限りの企画をいま乱射しなければ後がないかのように。 そしてそれは乱射ではなく、 無理やりにでも的に当ててくる。 さらに本作は俳優としての自らのフィナーレを自ら演出するかのごとく、 朝鮮戦争の老兵をスクリーンに葬送する。
うわっ、 カッコつけたイントロで自分でも書いてて照れるが、 そんな感じの映画ではある。 見終わっても、 酔ってみたい自分と覚めてみたい自分が宙ぶらりんのまま。 どうしたらいいんだろうね、 すでに世界中で絶賛、 悪く言う者はいない。 でも何か引っかかる・・ それが何かはわからまま、 とりあえずその夜、 血だらけで戻ったスーを見てグラスを落とすところはNGだな。 グラスを握りつぶさなくては。 だが憎らしいかな、 それくらしか文句のつけようがない。
長年連れ添った妻に先立たれるところから映画は始まる。 息子や孫たちからは偏屈じじいと嫌われ、 住み慣れた街にはいつしか東洋系の住民が増える。 ある日、 じいさんの最大の遺産となるであろうヴィンテージカー グラン・トリノが盗難未遂にあう。 犯人は隣に住む少年だったが、 彼を仲間に引き入れようとするギャングを追っ払ったことから、 少年やその家族との交流が生まれる。 しかし、 まっとうに生きようとする者の足元をすくうギャングの執拗さに、奴らがいる限り少年たちの幸せはないと悟ったじいさんは・・
東洋系として登場するのは Hmong モン族/ミャオ族 と呼ばれる中国の少数民族で、 偏屈じいさんのシンパシーの対象として微妙な取り入れ方をしているなあと思う。 じいさんは言う。 "実の子供や孫より わかりあえるなんて"
銃を手にしたイーストウッドはやはりサマになる。 にもかかわらず、 これは懺悔の物語であり、 自己反省するアメリカを象徴するトレンド奔流の作品となっている。 男の会話を教えてやると言って少年に叩き込むのは、 挨拶代わりに罵り合うような言葉の応酬。 このあたりはネイティブでないとやはり難しい。 概要はわかるがピンと来ないのだ。 じいさんは少数民族の少年のみならず、 新米の牧師にも生と死を教える。 GW公開。


グラン・トリノ GRAN TORINO (2008アメリカ・オーストラリア) 日本公開 4/25
監督・主演 クリント・イーストウッド オフィシャルサイト&予告編
ビー・ヴァン アーニー・ハー ジョン・キャロル・リンチ
2 コメント:
こんばんは、いつもお世話になってます☆
要点をうまくおさえてよく伝わりますね、
笑いありで悲しみもあってすごく好みの作品でした~。
>匿名さん
ありがとうございます。
こちらこそお世話になります。
暴言の数々で恐縮ですが、これからも時おりお読みいただけたら、またコメントの一言でもいただけたら幸いです^ ^
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